ラジオ「サントラの花道」

2012年4月 3日 (火)

★…「サントラの花道」から[1]作曲家のピーク


 毎週日曜日の午後1時半から、地元の「たんなん夢レディオ」というFM局で(79.1MH)、「サントラの花道」という1時間物のラジオ番組をやっています。毎回、ひとりの作曲家にスポットを当てながら、結果として、映画音楽の名曲を紹介していく番組です。3月のジェリー・ゴールドスミス(1929〜2004)に続いて、きのう、そして次回8日の放送では、ゴールドスミス亡き後のハリウッド音楽界の大巨匠ジョン・ウイリアムズ(1932〜)という作曲家を取り上げていて、番組の方もまさに佳境といったところです。

 多い人になると100本以上の映画の音楽を書いているので、番組ではもちろんその一部しか紹介できないのですが、それでも、そういう形で音楽を聞いて、その人の作風らしきものを感じることが出来ます。また毎週、収録までに紹介する曲を選び、そして番組で話すことを調べる、という作業を繰り返していますが、その作業の中で、その人の創作のピークが浮き彫りになってきます。アカデミー賞の作曲賞を取るような名作の前後の時期には、やはりいい曲が集まっていたりと、これがまた人間らしくて面白いのです。

 ところが、ゴールドスミス、ウイリアムズには、そうしたピークがない珍しい作曲家です。今回の番組は彼の出世作となった「ジョーズ」の音楽でスタートしました。その後、彼の名声を確立した「スター・ウオーズ」、そして「レイダース」、「スーパーマン」、「ET」…と続いたのですが、どれも名作揃い。そういうアベレージヒッターなので、アカデミー賞のノミネートもなんと47回と、現役の映画人の中で最多を誇り、作曲賞は4回・編曲賞を1回受賞しています。今年のアカデミー賞でも、「タイタンの冒険」、そして「戦火の馬」でノミネートされていて、80歳を迎えてなお、その健在ぶりを示しました。

 番組の中でいつも言っているのですが、そういうことが出来たのも、やはり素晴らしい監督の出会い(=素晴らしい作品との出会い)が大きいのではないか、と思います。彼の場合も、スティーブン・スピルバーグの作品の音楽をほとんどを手がけているのです。次回の放送では1990年代以降の作品、「シンドラーのリスト」や「プライベート・ライアン」などを紹介します。ぜひ一度、番組を聞いてみてください。「たんなん夢レディオ」の電波が届かない方は、同じ時間にUstreamでも放送しているので、スマートホンやパソコンで聞いてもらえます。

 

2011年11月14日 (月)

★…やっぱり、ニーノ・ロータは凄い


 ラジオの番組の、第7回でついにニーノ・ロータを取り上げました。 1911年にミラノに生まれ、79年にローマで亡くなったイタリアの作曲家です。映画音楽は趣味にすぎないと言っていってクラシック音楽の作品を次々と発表する一方、150本を超える映画の音楽を書いています。 『道』や『甘い生活』、『8 1/2』といったフェデリコ・フェリーニ(1920~33年)監督の映画は、そのほとんどが彼の音楽であり、その他に『太陽がいっぱい』、『山猫』、『ロミオとジュリエット』、『ゴッドファーザー』、『ゴッドファーザーPART II』と名曲がずらりと並び、番組ではそれらを紹介しました。

 哀愁を帯びたトランペットによる『道』のメインテーマは “ジェルソミーナのテーマ”としても知られていますが、昨年2010年に行われたバンクーバー冬季五輪で男子フィギュアスケートの高橋大輔選手が使った曲です。ああ、あの曲か、という人も多いでしょう。面白かったのは、この映画を調べていて、リチャード・ベイスハート(1914~84年)が出演していたことです。綱渡り芸人のアルレッキーノを演じているのですが、我々の世代には懐かしいテレビ番組「原潜シービュー号」の“ネルソン提督”です。彼が若い頃にフェリーニに認められ、こういったシリアスな映画に出演していた! ちょっとした驚きでした。


 映画音楽の多くは、映像が先に出来ていて、それに音楽を付けるというパターンが多いのですが、ロータの場合、それまでに作っていた音楽がそのまま映画に用いられることもありました。ルキノ・ヴィスコンティ監督の名作『山猫』のあの音楽、あのリリカルで切ない『ロミオとジュリエット』の音楽…。こういったことが起こるのも、いかに彼の音楽のレベルが高かったか、という証明でもあると思います。

 番組では“音楽の使い回し”の話も紹介しました。彼の代表作ともなった『ゴッドファーザー』の音楽の一件です。あのメロディーが他の映画にも使われていたという指摘を受け、アカデミー賞にノミネートされながらも失格となったというあの件です。ちくったのは、イタリアの作曲家グループとされていますが、“男の嫉妬”は本当に怖い、わけです。確かにその指摘通り、1957年の『Fortunella』という映画の中に、あのメロディーが出て来るのです。ただ、聴いた印象は全く違います。番組では実際に比較して聴いてもらいましたが、みなさんも機会があれば一度聴き比べてみてください。

 ロータの凄いところは、その2年後の『ゴッドファーザーPART II』の音楽で見事にアカデミー賞を受賞したことでしょう。見事なリベンジです。そして、『PART I』、『PART II』は、アカデミー賞史上初めて、本編続編ともに作品賞を受賞するという金字塔を打ち立てました。未だそれは破られていません。

 そのサントラについても面白い話があります。映画の監督はフランシス・フォード・コッポラであることは言うまでもありませんが、彼の父親カーマイン・コッポラはNBC交響楽団のフルート奏者で、後に指揮と作曲を手がけるようになりました。彼がかつて在籍したNBC交響楽団こそ、ロータに渡米を勧めた張本人で、20世紀を代表するイタリアの巨匠指揮者アルトゥーロ・トスカニーニが率いたオーケストラなのです。縁とは不思議なものです。






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