永遠の鯖江歩兵第36連隊

2013年1月13日 (日)

★…またも松山、温泉三昧


 11日は朝から松山に出掛けました。プロデューサーをしているコンサートのためです。

 今回のコンサートは、愛媛県美術館で行われている「文人画」を集めた美術展と連動した企画でした。コンサートにはNHK交響楽団の首席チェロ奏者の木越洋さん、ピアノの上杉春雄、ギターの鈴木大介さんを起用(コンサートの様子はこちら)、現地で待ち合わせました。

 ところが…。余裕を持って鯖江を出て「ゆ〜遊」で朝風呂に入ったまでは良かったのですが、羽田から松山に行く飛行機がなんと1時間近く遅れてしまいました。着いてみると、その前の便の操縦席にヒビが入り、それが折り返せなくなっていたことが解りました。そう、続いているボーイング787の故障の一つです。

 それでも午後に松山に入れたので、まずは借りておいたスタジオに直行、アーティスト3人で合わせをしました。その後、美術館の開館を待ってロビーで実際に音を出してサウンドチェック、そして、それを終えて関係者一同で和食屋に出掛けました。福井も肴は旨いのですが、瀬戸内の肴も格別です。そして、シメはやはり道後温泉でした。朝風呂を浴びたので、この日二度目の温泉ですが、やはり何度入ってもいいもの。「温泉に毎日浸かることが出来る人間とそうでない人間は寿命が違うのではないか」とは、木越さんの弁です。



 そんなわけで、翌日も早く目覚めたので、朝食を取ってからまた温泉です。今回は有名なあの建物の方ではなく、街がやっている新しい方の「椿の湯」という総湯に行ってみました。そしてその後、護国神社へ。敷地内には松山にあった歩兵第22連隊の忠霊碑などが点在しているのですが、中心になっている22連隊は沖縄防衛戦で玉砕している連隊です。こういう人たちが防波堤になって日本が残ったことを忘れてはいけません。





 続いて、タクシーの運転手さんから神社近くにロシア人墓地があるというのでそこを訪ねました。日露戦争の間、捕虜になったロシア軍の兵士たちは日本各地に作られた収容所に収容されたのですが、松山にも収容所があり、そこで帰国適わず亡くなった人たちの墓地です。行ってみると、近くの学校の生徒たちがボランティアで掃除に来ていました。偉いですね、子どもたちは。朝からすがすがしい気持ちになりました。



 今回はコンサートは午前と午後の2回でした。どちらも200人を超える人が集まり、とても喜んで貰えた幸せでした。その満足感に浸っていたのですが、飛行機の時間まで余裕があるとうことで、木越さんの提案でみんなでまた温泉に行くことになりました。2日目もまた2回も湯に浸ることになるとは…。しっかり暖まった足で、大阪に向かう飛行機に乗る私だけが先に現場を離れましたが、今回は温泉三昧の旅でした。

2012年9月 1日 (土)

★…誠照寺の忠霊堂

大事な報告を書き忘れていました。先々週18日の午後、「ご本山=誠照寺(じょうしょうじ、のことですね!)」を通り抜けようとして、小さなお堂がいつもと様子が違うことに気付きました。小さなお堂とは、つつじホール側に抜ける門の右側にある「忠霊堂」のことです。いつもは閉まっているこのお堂がこの日、三方の扉を開けて空気の入れ換えをしていたのです。

Photo

このお堂、太平洋戦争中に南京攻略戦で亡くなった歩兵第36連隊の英霊たちを祀るために建てられたもの、と聞いていました。確かに額には「忠霊堂」の文字があります。それで写真を撮っていたところ、そこにお寺の関係者の方が片付けに…。お堂の観音様が英霊の骨で作られていること、お堂に英霊の遺骨が祀られていること、そして、年に一度8月18日に風を通すために扉を開けること…。実に面白い話が聞けました。

36連隊は設立されたのは、明治三陸地震が起きた1896年(明治29年)のこと。金沢を拠点とする第9師団隷下の一連隊として(4連隊で1個師団です)編成が始まり、翌97年に北陸本線の開通を待って鯖江に配置されました。中心になったのは地元、嶺北、奥越の人たちです。彼らにとって最初の大きな戦いは1904年、日露戦争への従軍でした。小説「坂の上の雲」で知られる旅順要塞攻防戦、その後の奉天会戦に参加して奮戦したことで知られます。仲代達矢、丹波哲郎らが主演した映画「二〇三高地」は金沢の第7連隊の人間たちを中心に描かれていますが、36連隊もその時、彼らと一緒に戦っていたのです。しかし、36連隊の活躍で最も知られるのは「南京城一番乗り」でしょう。

1937年に(昭和12年に)始まった支那事変は上海をめぐる局地戦で終わらず、日本軍は結局、時の国民政府の首都・南京を陥落を目指して突き進むことになりました。そして、その戦陣を切ったのが36連隊。南京市街を囲む城壁の中で敵側の拠点となっていた光華門を激戦の末に(戦死257名、負傷546名を出して)占領しました。この攻防戦は日本でも連日大々的に報道され、連隊長の脇坂次郎大佐の名前を取って「脇坂部隊」と呼ばれた36連隊は、陸軍きっての精鋭部隊としてその名を轟かせることになりました。

戦後、36連隊の存在は市民に忘れられてしまいました。彼らが光華門占領の後、「いわゆる南京事件」が起きたことも大きかったのかもしれません。鯖江が南京という言葉と結び付くことを嫌ったのではないか、教育の現場でも彼らの記憶を消し去ろうとしたのではないか、というくらい知られていません。しかし、36連隊が国のために何万人もの戦死者を出して戦ったことを後世にもっと伝えていかなくてはいけません。

丹南病院はその昔、国立病院でした。国立病院が県庁所在地の福井市でなく、鯖江クラスの街にあったのも、実はかつて36連隊が抱えていた「衛戍(えいじゅ)病院=陸軍病院のことです」を戦後引き継がざるを得なかったからです。丸山公園になっている場所は36連隊の練兵場で、その中に「鯖江不時着場」がありました。“軍都”だった鯖江を今に伝えるものとしては、忠霊塔が立つ(あの中に2万人以上の戦死者の遺骨を祀っているんです!)嶺北忠霊場がありますが、この「忠霊堂」も歴史的な遺産としてこれから見守っていきたいと改めて思いました。

2012年1月 3日 (火)

★… 「坂の上の雲」の中の歩兵第36連隊


 年末、NHKのスペシャル・ドラマ「坂の上の雲」が終わりました。説明するまでもなく、司馬遼太郎の代表作として知られる小説「坂の上の雲」を元にしたドラマで、日露戦争をめぐる人物群像、そして日露戦争を通して「明治という時代」が描かれています。

 ドラマ化の話は過去何度もありながら、本人の生前は長くドラマ化が許されなかったこと、ドラマ化が認められてからも脚本を書き始めた野沢尚(私の大好きな作家です!)が自殺してしまったことなど、難産の末に完成した作品です。しかも、小説が描いている世界が大きいため、ドラマも3年にわたって放送されるという破格の規模となりました。しかしその分、内容充実の一言でした。

 その中でも、凄かったのは、やはり旅順要塞をめぐる攻防戦の戦闘場面でしょうか。最近の戦争映画はどれも本当にリアル。今回の「坂の上の雲」の映像も実に迫力十分でした。自ら肉弾となって、とにかく突撃を繰り返しながら敵陣に肉薄していく日本軍。しかし、ロシア軍の守りは堅く、強力な砲火の前になすすべもなく倒れていく。白兵戦(兵士同士が格闘すること)の場面は目を覆いたくなる映像の連続でしたが、戦場の凄惨な様を逃げずに正面から描いていて好感が持てました。そしてそこには、愚直な戦法に頼るしかなかった「あまりに小さな国」日本の姿が浮き彫りになっていました。

 ところで、この旅順攻防戦には、鯖江にあった「歩兵第36連隊」も参加していました。そして、ドラマからも解るように、突撃を繰り返す中で多大の犠牲を出しているのです。鯖江に「第36連隊」が設立されたのは、1896年(明治29年)。日清戦争に勝利した後、軍備増強のため全国に6個師団が新たに設立され、金沢にも「第9師団」が新たに設立されました。その時、「第36連隊」が鯖江に設立されたのです。

 当時の師団は、おおざっぱに言えば、2つの旅団からできていて、1つの旅団は2つの連隊からできていました。つまり、「第9師団」は4つの連隊で編成されていたわけで、鯖江の「第36連隊」は、第7連隊(金沢)、第19連隊(敦賀)、第35連隊(富山)と共に「第9師団」の一翼を担っていたのです。

 1904年(明治37年)6月、日露戦争が始まると、「第9師団」は乃木希典大将率いる「第3軍」に編入されて中国大陸に向かいます。ドラマの地上戦の主人公こそ、まさにこの「第3軍」でしたね。そして、8月19日の第1次総攻撃の中核を担うのです。ところが、この戦いからして2代目の連隊長の三原重雄大佐が戦死するという激戦。その後も、9月末の龍眼北方角面堡の攻略戦、12月末の二龍山砲台の攻略線に投入されます。旅順攻略の後も、05年2月の奉天会戰に参加、「第3軍」の外翼を受け持ちました。

 今、鯖江に「第36連隊」があったことすら知らない人たちが多いことに驚きます。戦争があったことに触れると面倒だから極力語ることを避けるようにしてきた戦後教育の弊害でしょう。かつて地元の先輩たちが、あの旅順攻防戦の先頭に立っていたのだということをもっと知って欲しいと思います。なぜこうまで日本人は英霊を大事にしないのでしょう。「日本人が憧れる、大好きな欧米」では考えられないことです。彼らが国のために自ら身を賭して戦ったこと、それは永く我々の胸に留めておきたいものです。これから「第36連隊」のことも、時折書いていこうと思います。



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