« 2013年11月 | トップページ | 2014年1月 »

2013年12月

2013年12月19日 (木)

★…きょうのニュース解説 [ 12月17日 ] 新しい防衛大綱を閣議決定

                    https://www.facebook.com/BarStation


 政府が17日、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について=いわゆる、防衛大綱ですね」を閣議決定しました。防衛大綱は中・長期的な安全保障政策の指針です。この前の防衛大綱は民主党政権時代の平成23年度に定められたばかりですから、わずか3年での改訂です。防衛大綱の閣議決定と同時に、大綱に基づいた今後5年間の防衛力整備計画「中期防衛力整備計画(中期防)」も明らかになりました。それに必要な、2014年度から5年間の防衛予算は、民主党政権下の前の大綱を約1兆2千億円上回る、総額約24兆6700億円になりました。

 では、今回の防衛大綱、それを受けた中期防をどうみればいいのでしょう。マスコミの報道は「南西シフト」と伝えていますが、最大のポイントは、防衛の重点を北海道から沖縄などの島嶼部に移すことです。これまでの仮想的・旧ソ連に向いていた防衛体制を見直す、そして、急速に軍事力を増強してきている中国を睨んだ体制に組み替える……1990年初めの米ソ冷戦の終結以来、日本の防衛体制が大きく転換することを意味します。

 その方針の下、いちばん大きく変わるのは、陸上自衛隊です。東部方面隊や中部方面隊など、5方面隊の上に「陸上総隊」を新設、指揮を一元化する組織改編を行います。私に言わせれば、今頃なんだという話ですが、各方面隊が地域ごとに独立した指揮権を持つ、というこれまでの歪な形がようやく是正されることになります。また、海からの上陸作戦能力を持ち、離島などの防衛を専門とする「水陸両用団=仮称」を2015年度にも発足させることになりました。モデルは米海兵隊で、長崎県佐世保市の西部方面普通科連隊700人を核に発足させ、将来的には3千人規模に増員する計画です。 加えて、与那国島に100人規模の「沿岸監視隊」を配置することも明記。定員は3年前の大綱では15万4000人になっていましたが、15万9000人に引き上げました。

 また、戦車は44両を取得しながら旧型を順次退役させることで約740両から300両に大幅に削減し、配備も北海道、九州に集約することになりました。これまで各師団に配備されていた火砲も方面隊直轄となります。戦車は上陸した敵を迎え撃つためにいるのですが、よく考えれば、敵が本土にという状況自体、やばい状況です。大事なのはそんなことになる前に敵を排除すること。戦車への投資を、敵を日本に近づけさせない防御力の整備に振り向ける方が賢明です。陸自ではその予算を(1)機動力の高いヘリコプター「オスプレイ」17機(2)戦車並の武装を持ちながらタイヤで道路を高速で走行出来て空輸も出来る機動戦闘車99両(3)水陸両用の装甲車52両などに振り向けることになりました。

 新しい大綱では、陸海空自衛隊の連携や即応性を重視する「統合機動防衛力の構築」を基本概念にしています。それを受けて、海上自衛隊、航空自衛隊の装備も前倒しでの整備が進みます。空自は5年の間に最新鋭ステルス戦闘機F35Aを28機、新型の早期警戒機を4機、新型の空中給油機を3機、国産の新型哨戒機P1を23機、C2輸送機を10機、さらに初めて高高度を飛ぶ無人偵察機を3機配備します。また、移動式警戒管制レーダーを「南西地域の島しょ部」に整備。那覇基地も増強させ、F15戦闘機、E2C早期警戒機の飛行隊をそれぞれ1個新たに配備します。一方、海上自衛隊の護衛艦を現状の47隻から54隻に増強。そのうち、イージス艦は2隻増やして8隻になります。潜水艦は既定通り16隻から22隻に増強されます。

 こう書いてくると、軍備の大幅増強のようにみえるかもしれませんが、このところの中国の軍事力増強はハイペースで、2013年に中国が建造した軍艦の数は、海自がこの10年間に建造した護衛艦の合計を既に上回るスピード。しかも、複数の空母の建造が進むなど、軍備拡大はむしろこれからが本番といった調子で、とても追いつきません。空自はF15戦闘機に代わる最新鋭ステルス戦闘機F35Aの導入を中期防以後も続け、将来的に100機以上を保有して中国に対する航空優位を維持すると言っていますが、中国は空軍とは別に海軍航空隊を持ち、これまでの増強ペースを見れば、数年のうちに海軍航空隊だけで空自より強力な戦力になります。計画通り進んでも、日本の防衛力は心許ないというのが現実です。





2013年12月18日 (水)

★…「親日米国人」がホワイトハウスへ請願、慰安婦像撤去の署名集め 

                    https://www.facebook.com/BarStation

 

 米テキサス州在住の動画投稿者トニー・マラーノ氏がカリフォルニア州グランデール市に建てられた慰安婦像の撤去を求め、ホワイトハウスの請願サイト「WE the PEOPLE」への誓願を始めました。請願成立には来年14年1月10日までに10万人の署名が必要で、期間内に一定数の同意が集れば、誓願に対する政府見解が発表されます。18日朝の時点で、4万弱の署名が寄せられています。日本人を貶める韓国による歴史のねつ造が許せない方、署名が出来る周囲の人にぜひお願いしてください。

 → https://petitions.whitehouse.gov/petition/remove-offensive-state-glendale-ca-public-park/3zLr8dZh

 今回の誓願は「市立公園に建てられた『侮辱的な像』を撤去せよ」というもの。誓願を行ったマラーノ氏は 「プロパガンダバスター」を名乗り、インターネットのサイトなどへの投稿で自らの政治的見解を述べてきた人物で、米軍文書に基づいて「慰安婦は売春婦だった」と主張、慰安婦像を「平和への祈願を装っていますが、その銘文を読めばわかるように、その本質は日本国と日本人への憎悪を煽り立てるもの」としています。

 グランデール市の慰安婦像は2013年7月、韓国以外で初めて立てられた像です。しかし、9月にデーブ・ウィーバー市長が日本のインターネット放送局の取材に対し、「非常に遺憾に思っている」という発言、設置までの経緯にも疑問符が付きました。その像に12月3日、マラーノ氏が像の顔に紙袋を被せて写真を撮影、氏は韓国から「米国の極右ブロガー」という肩書きを頂戴しています。今回の誓願についても、韓国の大手紙やテレビ局は大々的に報道、「日本の極右民族主義者たちからの支援を受けており、靖国神社を参拝したこともある」と紹介していますが、氏の元に「殺人予告」まで舞い込む騒動に発展しています。






2013年12月14日 (土)

★…「ニウスな夜」第31夜は特定秘密保護法を再点検

                    https://www.facebook.com/BarStation

 

 店でやっている等身大のニュース解説「ニウスな夜」第31夜では、成立したばかりの特定秘密保護法を取り上げて解説しました。この法案をめぐって は世論が賛否両論に割れましたが、その向かい風の中で政府が今回の法律の成立を急いだのは、国家安全保障会議(NSC)の発足という事情がありました。会 議は外交や安全保障の司令塔となる組織で、今後はここが欧米の同じような機関と情報のやりとりをするようになります。しかし、組織が出来たからといって、 自動的に情報が集まるわけではありません。また、日本には米国のCIAのような諜報機関がないので、そうした活動を通した機微な情報は他国に頼るしかな い。そこで外国からの信用を得るため、会議のメンバーに守秘義務を課す必要があり、機密漏洩を防ぐための法律を同時に整備する必要がありました。


 

 それもこれも、中国や北朝鮮の脅威が現実のものになり、東アジアの情勢が緊迫しているからです。尖閣諸島をめぐって日中の対立して久しい中、さらに波風を立てるように中国は防空識別圏を一方的に設定、一歩踏み込んできました。継続審議にして次の国会での成立をめざすと、成立は早くて来年5月頃になります。しかし、それまでの間に何か起きたらどうするか…。有事が起きた場合、現状では米国の支援を受けながら対処せざるを得ませんが(私は独自の軍事力を整備し、米国軍にはお引き取り願うという立場ですが)、そのためには国家安全保障会議と特定秘密保護法の両方を急いで整備する必要がありました。


 さて、今回の法律の最大の主眼は、今後「特定秘密」に指定された情報を取り扱うことになる人間に縛りを掛け、情報漏洩を阻止することにあります。そういうと、公務員にはいまでも守秘義務があるではないか、という人もいるでしょう。確かにその通りです。では、「特定秘密」に触れる人の中で守秘義務を課せられていないのは誰でしょう、そう、政治家と有識者という民間人ですね。記者生活の経験を通じて、日本は機密情報がダダ漏れになっていること、また、漏洩の多くが政治家からという実感を持っていますが、今回の法律は「特定秘密」に触れる人すべてを拘束することになるので、その抜け穴を塞ぐという意味では意味があるのです。もちろん、特定秘密保護法案は内閣という行政府が出した法案なので、憲法で保護されている立法府の人を(国会議員を)縛ることには限度があります。これも今後、議員立法で(立法府自身で)議員を縛る法律を別に整備しないといけません。


 もう一つ、メリットを挙げれば、この法律で、国家機密の指定について戦後初めてルールが生まれたことでしょうか。議論の中で政府内の「機密(現在は特別管理秘密と呼ばれています)」は42万件という話がよく取り上げられましたが、この42万件はこれまで、すべて役所間の申し合わせで決めてきたのです。何のことはない、官僚たちがナアナアで決めていたということです。その裏でどういうことが起きていたか。公文書の隠蔽ではなく、破棄です。外国の外交文書公開で明らかになった事案について、日本側に書類が残っていない、といったことが起きる理由もそこにあります。しかし、今後は「特定機密」に指定されると、都合の悪い情報を官僚の一存で抹殺出来なくなります。「機密」を国民が選んでいない人間が勝手に運用している現状と、大臣が関わる今後と、どっちが民主的なガバナンスが効くか明白ですね。


 もちろん、だからといって、今回の特定秘密保護法が良く出来ている、なんていう気はありません。反対派の人たちのいう、例えば、「第三者機関のチェック機能についてはっきりとした形が見えていない」、「何が秘密か解らないといった曖昧さが拡大解釈に繋がる」といった主張はその通りです。この点は今後の法改正でより良いものに変えないといけません。日本の悪い癖ですが、法案が通ったことでまたいつものように「済んでしまったこと」ということになって、国民の関心が急速に失われてしまわないか、それが心配です。さしずめ、第三者機関によるチェック体制の整備を急ぐこと、でしょう。政府が考えているような行政内に設けた機関で良いのか、国会に設けた方がいいのか…。


 一方、法案成立までの政府与党(自民党+公明党)の、国民に対する説明のお粗末さには呆れました。重要な法律であるのであればなおさら、政府を挙げて国民の理解を得るための努力をもっとすべきでした。面白いのは、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が11月16日、17日に行った合同世論調査の数字です。「必要だと思う」59.2%、「必要ではない」27.9%と、世論調査の中で賛成の数字が最も多かったにもかかわらず、「今国会で成立させるべき」はわずか12.8%、「今国会での成立は見送るべき」がなんと82.5%。数字からは、多くの人が政府のやり方を拙速とみていたことが解ります。ところが、答弁が二転三転する大臣を弾避けに使うようなことをした上、最後は強行採決で成立させました。政治の劣化が言われますが、それを如実に見せつけられた想いでした。また、強いリーダーシップを標榜しながら、面倒なことは人任せにしてしまった安倍首相の姿勢に、多くの人が世襲政治家にありがちな脆さ、危うさを感じたでしょう。


 しかし、だからといって、安倍首相が「戦争がしたい」人物と決めつけるのは飛躍のしすぎでしょう。首相を含め、現実にいまの日本に「戦争をしたい人」というのがいるのでしょうか? いまさら植民地獲得のため軍事力を使おうと考えている、あるいは言っている人など皆無でしょう。なのに…。反対派の人はさも日本が軍国主義化してアジアを再び侵略しようとしている、今回の法案成立はその第一歩と騒ぎ立てる。現状は反対で、中国の脅威に対する対抗策なのに…。そして、反対派はそのことには触れません。法案への批判を飛び越えて一足飛びにそこに話が行ってしまう、そういう流れに違和感を感じるだけでなく、方向が違うだけの話で、それはそれで恐ろしいと思うのです。一方、そういう人たちにネット右翼たちが浴びせる罵詈雑言も本当に醜い。ヘイとスピーチもそうですが、そんなことをやっていて、あなたたちが主張する「美しい日本」になるのか、はなはだ疑問です。もう少し、冷静にメリット、デメリットを見つめ、きちんとした議論をすることが、日本人には出来ないのですかねえ………。



2013年12月10日 (火)

★…[ きょうのサントラ ] ラロ・シフリン

                    https://www.facebook.com/BarStation

 



Vol.25
TVドラマ「スパイ大作戦」からオープニングテーマ


この音楽、導火線にマッチで火を点けるオープニングの映像…。そして番組冒頭で本部からの指令を受け取る時の「おはようフェルプス君〜なおこのテープは自動的に消滅する」という決まり文句がいまも鮮やかによみがえります。米国では1966〜73年までCBSで放送され、日本では67年からフジテレビ系での放送が始まりました。私が見ていた時のリーダーはジム・フェルプス。彼は二代目のリーダーで、演じていたのはピーター・グレイブスでした。グレイブスは71年にこの番組でゴールデングローブ賞を受賞していますから、まさに彼の代表作です。ラロ・シフリンの音楽は、マルチな才能を発揮してきた人らしく、4分の5拍子を用いたダイナミックな仕上がりです。96年からトム・クルーズが主演する「ミッション:インポッシブル」としてリメイク版の映画が3度作られていますが、このパンチのある音楽を捨てるわけにはいかなかったんでしょうねえ。






 ■■■ 作曲家の肖像

ラロ・シフリン(Lalo Schifrin=1932年6月21日~)

 アルゼンチンはブエノスアイレス生まれで、本名はボリス=クラウディオ・シフリン。父はヴァイオリン奏者だったこともあり、音楽との関わりは早く、6歳からピアノを習い始め、エンリケ・バレンボイム(ユダヤ系の名指揮者ダニエル・バレンボイムの父親です!)の指導を受け、その後、アンドレア・カラリスに師事、音楽大学でもクラシック音楽を学んでいます。1950年代初頭にはパリ国立高等音楽院に留学、オリヴィエ・メシアン、シャルル・ケクランに師事していますから、彼も元々はクラシックの本流を歩んだ人ですね。

 しかし、フランス時代にジャズ・ピアニスト、アレンジャーとしてキャリアを歩み始め、1950年代終わりに帰国してからは、ジャズ・ミュージシャンとして名が知られるようになりました。60年代に入ると、トランペット奏者のディジー・ガレスピー率いる楽団のピアニスト兼アレンジャーとして参加、アメリカに移住します。米国ではクインシー・ジョーンズやスタン・ゲッツ、カウント・ベイシーやサラ・ヴォーン、ジミー・スミスやルイス・ボンファといった花形アーティストとの共演を重ねています。

 映画やテレビの音楽を手がけるようになったのは、米国で所属していた「ヴァーヴ・レコード」が映画製作会社「メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)」の子会社だったからだそうです。才能を買われ、親会社が制作する映画やテレビシリーズのための音楽を書くようになりました。多才なんでしょうね、その後も、作曲だけでなく、編曲家、ジャズピアニスト、そして指揮者としての活動も積極的に展開(あの「三大テノール」のツアーで指揮者を務めたこともあります!)、何足ものわらじを履いての国際的な活躍が続いてきました。

 シフリンといえば、「ブリット」や「ダーティハリー」、「燃えよドラゴン」といった映画の音楽、「0011ナポレオン・ソロ」、「スパイ大作戦」、そして「スタスキー&ハッチ」といったTVシリーズの音楽が有名ですが、67年の「暴力脱獄」、68年の「女狐」、76年の「さすらいの航海」、79年の「悪魔の棲む家」で作曲賞、80年の「コンペティション」で歌曲賞、83年の「(未公開)スティング2」で音楽(編曲・歌曲)賞と、アカデミー賞に6回ノミネートされています。また、グラミー賞の方は21回もノミネートされていて、「スパイ大作戦」の音楽などで4回受賞しています。


 ■■■ 主な作品(wikipedia参照)

………映画

ライノ!(1964)
危険がいっぱい(1964)
シンシナティ・キッド(1965)
暴力脱獄(1967)=第40回アカデミ
ー賞作曲賞ノミネート
ブリット(1968)
太平洋の地獄(1968)
マンハッタン無宿(1968)
女狐(1968)=第41回アカデミー賞作曲賞ノミネート
ゲバラ!(1969)
戦略大作戦(1970)
THX 1138(1971)
ダーティハリー(1971)
大自然の闘争 脅威の昆虫世界(1971)
シノーラ(1972)
ダーティハリー2(1973)
燃えよドラゴン(1973)
突破口!(1973)
四銃士(1974)
鷲は舞いおりた(1976)
さすらいの航海(1976)=第49回アカデミー賞作曲賞ノミネート
テレフォン(1977)
ジェット・ローラー・コースター(1977)
悪魔の棲む家(1979)=第52回アカデミー賞作曲賞ノミネート
オフサイド7(1979)
エアポート'80(1979)
バトルクリーク・ブロー(1980)
世界崩壊の序曲(1980)
コンペティション(1980)=第53回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
0086 笑いの番号(1980)
ブルベイカー(1980)
おかしなおかしな石器人(1981)
セダクション 盗撮された女(1982)
ダーティハリー4(1983)
バイオレント・サタデー(1983)
スティング2(1983)=第56回アカデミー賞音楽賞ノミネート
ダーティハリー5(1988)
F/X2 イリュージョンの逆転(1991)
ビバリー・ヒルビリーズ じゃじゃ馬億万長者(1993)
ランナウェイ(1997)
タンゴ(1998)
ラッシュアワー(1998)
ラッシュアワー2(2001)
女神が家にやってきた(2003)
サン・ルイ・レイの橋(2004)
ダイヤモンド・イン・パラダイス(2004)
ケイヴ・フィアー(2006)
ラッシュアワー3(2007)

………テレビ

0011ナポレオン・ソロ(1964)
スパイ大作戦(1968)
マニックス特捜網(1967)
猿の惑星(1974)
刑事スタスキー&ハッチ(1975)
刑事ブロンク(1975)
特捜隊長エバース(1976)








2013年12月 9日 (月)

★…[ きょうのサントラ ] 林光

                    https://www.facebook.com/BarStation

 



Vol.24
NHK大河ドラマ「花神」からオープニングテーマ


このドラマも懐かしいですね。1977年のNHK大河ドラマ「花神」は、村医者から長州藩の討幕司令官になり、新政府で近代軍制を築いた村田蔵六(後の大村益次郎ですね)の生涯を描きながら、維新の原動力となった若者たちを描いた青春群像劇でした。出演者たちの生き生きとした演技も強く印象に印象に残ります。村田蔵六に中村梅之助、吉田松陰に篠田三郎(篠田松陰のイメージはいまも強く残っています!)、高杉晋作に中村雅俊、久坂玄瑞に志垣太郎、山縣狂介に西田敏行、高杉晋作に中村雅俊、桂小五郎に米倉斉加年、河井継之助の高橋英樹、シーボルトの娘イネの浅丘ルリ子…。いまや役者として円熟を究める俳優さんたちによる青春群像にもなっていました。そして、この林光の音楽。チェロでゆるやかに始まる最初のメロディーは、8分の6拍子という独特なリズムのためか、聴く者をゆりかごの中にいるような浮遊感で包み、そのメロディーが大きく広がり、力を溜めて最後に弾けます。




 ■■■ 作曲家の肖像

林光(はやし・ひかる=1931年10月22日〜2012年1月5日)

 林といえば、「オペラシアターこんにゃく座」での活動を思い浮かべる人も多いでしょう。1971年に設立された「こんにゃく座」は新しい日本のオペラの創造と普及を目的に掲げ、日本語のオペラ作品を恒常的に上演してきた劇団です。林は75年から劇団の音楽監督、77年から座付作曲家を亡くなるまで務め、多くの作品を書いています。ピアノが指揮者とオーケストラの役割を担う「セロ弾きのゴーシュ」は有名ですし、「我輩は猫である」や「森は生きている」やを観た、あるいはその中の曲を歌ったという人も多いでしょう。

 林も幼い頃から音楽に包まれていた作曲家です。なんと10歳の時から指揮者で作曲家の尾高尚忠の指導の下、作曲を始めているのです。林の父親は慶応義塾大学医学部を卒業してベルリンに留学、帰国後は日本大学医学部教授を務めた人物ですが、尾高とは留学中からの知り合いでした。当然のように東京藝術大学作曲科に進学、作曲を池内友次郎、ピアノを田村宏、安川加寿子に師事します。しかし、学外での作品発表に対する学校側の対応に疑問を抱いたことから大学は途中で退学しています。

 そして中退後の53年、「音楽のあらゆる分野にわたって日本の国民音楽の発展に役立つ仕事をしていきたい」と、間宮芳生、外山雄三と「山羊の会」を結成。その後も、60年に武満徹、芥川也寸志ら8人で「作曲家集団」を起ち上げ、72年には武満徹、一柳慧、高橋悠治、湯浅譲二、柴田南雄、松平頼暁の7人グループ「トランソニック」を結成、常に社会に視線を向けた行動を続けてきました。政治問題にも積極的に関わり、労働運動や平和運動とも連携、日本教職員組合(日教組)の教育研究全国集会音楽分科会の講師を長く務めてもいます。

 林も多作家で、作品はオーケストラ、オペラ、映画、演劇、ラジオ、テレビなど多岐にわたります。音楽賞の受賞も数多く、53年の交響曲ト調(=第1番)が芸術祭賞を受賞している他、尾高賞を55年の「オーケストラのための変奏曲」、95年にヴィオラ協奏曲「悲歌」で二度受賞しています。96年には紫綬褒章を受章。99年には「吾輩は猫である」でサントリー音楽賞を受賞しています。

 映画音楽では、59年の「第五福竜丸」から遺作となった「一枚のハガキ」まで、新藤兼人監督の作品のほとんどの音楽を手がけています。テレビでは、73年の「国盗り物語」、77年の「花神」、84年の「山河燃ゆ」と、NHKの大河ドラマを3度手がけている他、NHKでは80年の「ザ・商社」のジャズ風の音楽も印象深いですね。また、58年に第1楽章「水ヲ下サイ」を発表した後、最終楽章「永遠のみどり」を2005年に書き上げた合唱組曲「原爆小景」など、息の長い活動もあります。


 ■■■ 主な作品(wikipedia参照)

………映画

影なき声(1958)
荷車の歌(1959)
人間の壁(1959)
危険な女(1959)
第五福竜丸(1959)
裸の島(1960)第2回モスクワ映画祭作曲賞
武器なき斗い(1960)
名もなく貧しく美しく(1960)
松川事件(1961)
女ばかりの夜(1961)
人間(1962)
母(1963)
鬼婆(1964)
悪党(1965)
女の中にいる他人(1966)
華岡青洲の妻(1967)
忍者武芸帳(1967)
絞死刑(1968)
藪の中の黒猫(1968)
少年(1969)
千羽鶴(1969)
でっかいでっかい野郎(1969)
極道ペテン師(1969)
でんきくらげ(1970)
裸の十九才(1970)
恋の夏(1972)
わが道(1974)
動脈列島(1975)
聖職の碑(1978)
日本フィルハーモニー物語 炎の第五楽章(1981)
未完の対局(1982)
卍(1983)横山博人監督)
湯殿山麓呪い村(1984)
竹山ひとり旅(1977)
北斎漫画(1981)
ブラックボード (1986)
落葉樹(1986)
さくら隊散る(1988)
濹東綺譚(1992)
午後の遺言状(1995)
生きたい(1999)
三文役者(2000)
ふくろう(2004)
石内尋常高等小学校 花は散れども(2008)
一枚のハガキ(2011)第66回毎日映画コンクール音楽賞

………テレビ

煉獄(1960/九州朝日放送)
二十四の瞳(1964/東京)
みんなの科学(1965〜80/NHK教育)
バンパイヤ(フジテレビ)
[NHK土曜ドラマ]国盗り物語(1973/NHK)
おんな浮世絵・紅之介参る!(1974〜75/日本テレビ)
[NHK大河ドラマ]花神(1977/NHK)
[NHKドラマ人間模様]夫婦(1978/NHK)
[NHK土曜ドラマ]松本清張シリーズ・天城越え(1978/NHK)
[NHK土曜ドラマ]松本清張シリーズ・虚飾の花園(1978/NHK)
[NHK土曜ドラマ]松本清張シリーズ・一半待て(1978/NHK)
[NHK土曜ドラマ]松本清張シリーズ・火の記憶(1978/NHK)
人間は何をつくってきたか 交通博物館の世界(1980/NHK)
ザ・商社(1980/NHK)
[NHKドラマ人間模様]街・若者たちは今(1982/NHK)
[NHK大河ドラマ]山河燃ゆ(1984/NHK大河ドラマ)
真田太平記(1985〜86/NHK)








2013年12月 7日 (土)

★…[ きょうのサントラ ] ヴァンゲリス

                    https://www.facebook.com/BarStation

 



Vol.23
映画「ブレードランナー」から“Memories of Green” 


この映画のファンは多いでしょうねえ、SF映画の金字塔と言われる1982年のアメリカ映画の「ブレードランナー」です。植民惑星から4体のレプリカント(人造人間)が脱走して地球に潜入、それを「ブレードランナー」と呼ばれる捜査官デッカードが追う…。監督は「エイリアン」のリドリー・スコットで、舞台となる近未来のロサンゼルスはそれまでSF映画とはまったく違い、酸性雨降りしきる廃墟のようでした。中でも強烈な印象を残したのは、レプリカントのリーダー・バッティを演じたルトガー・ハウアーの存在感。人造人間の狂気と悲哀を演じ、ラストのシーンの独白も深く刺さりました。デッカードを演じたハリソン・フォードが作品に対して長く語らなかったのは、損な役回りをさせられたことへの不満にあると言われてきました。音楽はギリシャの作曲家でシンセサイザー界の大御所ヴァンゲリス。81年のイギリス映画「炎のランナー」の音楽が大ヒット、一躍注目を集めた鬼才です。




 ■■■ 作曲家の肖像

エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ(Evangelos Odysseas Papathanassiou=1943年3月29日〜)

 ヴァンゲリスは、いわば芸名ですね。ギリシャ中南部の港町ヴォロスの生まれで、父は画家、母はシンガーという家庭に育ち、4歳からピアノを始め、1960年代初めに「フォーミンクス」というポップ・バンドを結成して音楽活動がスタートしています。その後、68年にギリシャで軍事クーデターが起きるとパリに拠点を移して「アフロディーテス・チャイルド」というバンドを結成(71年解散)、パッヘルベルのカノンを編曲した「雨と涙」という曲をヒットさせました。その後はソロ活動を展開、ジャンルにとらわれないアルバムを数多くリリースしてきました。

 しかし、この人を語る時、この音楽抜きに語ることはできません。81年のイギリス映画「炎のランナー」の音楽です。この音楽が彼を一躍世界ブランドにのし上げました。「炎のランナー」は82年のアカデミー賞で作品賞とオリジナル作曲賞を受賞、テーマ曲は世界的なヒットとなり、アルバム、シングルともに全米ビルボードのポップス・チャートの1位を獲得しています。映画との関わり合いでは、82年の「ブレードランナー」、92年の「1492コロンブス」と、いずれもリドリー・スコット監督の作品の音楽を手がけていますが、「1492 コロンブス」の音楽はドイツでアルバムが100万枚、シングル・カットされたが150万枚も売れ、欧州17カ国でゴールド・ディスクやプラチナ・ディスクを獲得、「炎のランナー」を凌ぐヒットになりました。83年の日本映画「南極物語」の音楽も彼ですね。

 89年に帰国、現在はアテネを拠点にしていますが、その後も旺盛な創作活動を続いています。97年の世界陸上アテネ大会の音楽とセレモニー、2000年のシドニー五輪の閉会式の音楽と指揮、04年のアテネ五輪では公式エンブレムの音楽…。そのちょっと前、02年にはFIFAワールド・カップのテーマソングも忘れるわけにはいきませんね。その年日本で最も売れた海外アーティストのシングルで、03年に日本レコード協会からインターナショナル・ソング・オブ・ザ・イヤー賞を受賞しています。もちろん、テレビ音楽も手がけていて、天文学者のカール・セーガンの監修で制作された80年のテレビドキュメンタリー「COSMOS」でも彼の作品が印象的に使われています。また、フレデリック・ロッシフ監督のドキュメンタリーにも彼の音楽が数多く使われています。


 ■■■ 主な作品(wikipedia参照)

………映画

5000 Lies (1966)
Frenzy (1968)
Apollo Goes on Holiday (1968)
Salut Jerusalem(1973)
Amore (1973)
結婚詐欺師は殺さない(1975)
炎のランナー(1981)
ブレードランナー(1982)
ミッシング(1982)
南極物語(1983)
バウンティ/愛と反乱の航海(1984)
フランチェスコ(1989)
プレイグ(1992)
赤い航路(1992)
Kavafis(1995)

………テレビ

ピカソの20世紀(1981)
野生と美(1984)
Splendeur Sauvage(1986)
COSMOS a special edition(1986)
Pasteur le Siecle(1987)
Morandi(1989)
Les animaux de Frederic Rossif(1989)
Beaute Sauvage(1989)
De Nuremberg a Nuremberg(1989)
Jacques Cousteau(1991)








2013年12月 6日 (金)

★…[ きょうのサントラ ] 岩代太郎

                    https://www.facebook.com/BarStation

 



Vol.22
映画「レッド・クリフ」から“The Battle Of Red Cliff”


冒頭の、目の前がさあっと拓けていく感じがいいですねえ。断崖絶壁の上から眼下に広がる壮大な空間を眺めながら、闘いへの決意を新たにしているようなシーンを思わず浮かべてしまいます。「レッドクリフ」は中国の歴史小説『三国志演義』のクライマックスである赤壁の戦いを描いたアクション映画でした。舞台は三国時代の中国。当時は曹操率いる魏、孫権率いる呉、劉備率いる蜀が覇権を争っていましたが、曹操軍の南下に対抗すべく、呉と蜀が手を組み、長江の(下流が揚子江ですね)赤壁で迎え撃ちます。映画は史実をなぞりつつ、呉の総司令官・周瑜の妻・小喬に対する曹操の執着といった話も取り込んでいました。呉と蜀の連合軍に勝利を呼び込んだ蜀の軍師・諸葛孔明(しょかつ・こうめい)は金城武が演じましたが、その姿が横山光輝の漫画にそっくり。何度見てもよく似ています。音楽は岩代太郎、異国情緒を振りまきながら悠久の時の流れ、闘いを前に高まる緊張感といったものまで伝える手腕はさすがです。





 ■■■ 作曲家の肖像

岩代太郎(いわしろ・たろう=1965年5月1日〜)

 逸材が揃っている40代後半の作曲家の中でも、独自の存在感を放っている作曲家、それが岩代太郎です。教育者の岩代吉親を祖父、作曲家の岩代浩一を父に持ち、1年浪人して東京藝術大学作曲科に入学、南弘明、近藤譲、松下功、黛敏郎に師事し、卒業は首席、大学院も修士課程を首席で修了しました。

 在学中から旺盛な活動を展開していて、大学院の終了作品である「TO THE FARTHEST LAND OF THE WORLD(世界のいちばん遠い土地へ)〜ソプラノ・サックスとオーケストラの為のコンチェルト〜」は、ユネスコなどの主催で1990〜91年に行われた「シルクロード国際管弦楽作曲コンクール」で最優秀賞を受賞。サントリーホールでの初演を得て、東京藝術大学の買い上げ作品になりました。

 以後、映画、テレビの音楽を含めて幅広い活動を続けていて、2006年には東京都交響楽団の理事に就任してオーケストラとのコラボレーションにも積極的に取り組んできました。もちろん、NHK大河ドラマにはデビュー済みで、2000年の「葵 徳川三代」、05年の「義経」と、既に2作を手がけています。

 また、08年の北京オリンピックでは「マーメイド・ジャパン=シンクロナイズドスイミング日本代表」の音楽を担当。2009年には「天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典」の奉祝曲を委嘱されました。記念式典で秋元康の作詞、EXILEの歌と踊りで演奏された組曲「太陽の国」がその曲ですね。


 ■■■ 主な作品(wikipedia参照)

………映画

課長島耕作 (1992)
あした (1995)
フランダースの犬 劇場版 (1997)
卓球温泉 (1998)
るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 維新志士への鎮魂歌 (1998)
あつもの (1999)
MARCO 母をたずねて三千里 (1999)
アナザヘヴン (2000)
しあわせ家族計画 (2000)
すずらん 少女萌の物語 (2000)
11'09"01 (2002)
あずみ (2003)
さよなら、クロ (2003)
釣りバカ日誌14 (2003)
殺人の追憶 (2003)
血と骨 (2004)
蝉しぐれ(2005)
SHINOBI(2005)
ヒナゴン(2005)
6月の日記(2005)
春の雪(2005)
愛してよ(2005)
日本沈没(2006)
風のダドゥ(2006)
テニスの王子様(2006)
あおげば尊し(2006)
花田少年史(2006)
蒼き狼(2007)
あかね空(2007)
舞妓Haaaan!!!(2007)
未来予想図 〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜(2007)
リアル鬼ごっこ(2008)
歓喜の歌(2008)
闇の子供たち(2008)
レッドクリフ パート1(2008)
252 生存者あり(2008)
レッドクリフ パート2 -未来への最終決戦-(2009)
真夏のオリオン(2009)
火天の城(2009)
カムイ外伝(2009)
なくもんか(2009)
書道ガールズ!! わたしたちの甲子園(2010)
鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星(2011)
聯合艦隊司令長官 山本五十六(2011)
かぞくのくに(2012)
綱引いちゃった!(2012)
許されざる者(2013)
利休にたずねよ(2013)
武士の献立(2013)

………テレビ

[NHKスペシャル]FASHION DREAM(1991/NHK)
君といた夏 (1994/フジテレビ)
東京 SEX (1995/フジテレビ)
恋も2度目なら (1995/日本テレビ)
沙粧妙子-最後の事件- (1995/フジテレビ)
白線流し (1996/フジテレビ)
炎の消防隊 (1996/テレビ朝日)
翼をください! (1996/フジテレビ)
真夏の薔薇 (1996/東海テレビ)
[NHK-BSスペシャル]悠久の長江〜三峡ダム(1996/NHK)
恋のバカンス (1997/日本テレビ)
[連続テレビ小説]あぐり(1997/NHK)
理想の上司 (1997/TBS)
金のたまご (1997/TBS)
生命38億年スペシャル「人間とは何だ」(1997/TBS)
WITH LOVE (1998/フジテレビ)
お熱いのがお好き? (1998/日本テレビ)
なにさまっ! (1998/TBS)
必要のない人 (1998/NHK)
[NHKスペシャル]海〜知られざる世界〜(1998/NHK)
鬼の棲家 (1999/フジテレビ)
氷の世界 (1999/フジテレビ)
独身生活 (1999/TBS)
[NHK大河ドラマ]葵 徳川三代 (2000/NHK)
アナザヘヴン (2000/テレビ朝日)
甘い生活。 (2000/日本テレビ)
怪談百物語 (2002/フジテレビ)
サイコドクター (2002/日本テレビ)
川、いつか海へ (2003/NHK)
ぼくの魔法使い (2003/日本テレビ)
緋色の記憶 (2003/NHK)
海峡を渡るバイオリン(2004/フジテレビ)
人間の証明 (2004/フジテレビ)
恋する京都 (2004/NHK)
[NHK大河ドラマ]義経 (2005/NHK)
わたしたちの教科書 (2007/フジテレビ)
風の果て (2007/NHK)
黒部の太陽 (2009/フジテレビ)
[NHKスペシャル]日本新生(2011/NHK)
[NHKスペシャル]知られざる大英博物館(2012/NHK)








2013年12月 3日 (火)

★…[ きょうのサントラ ] レナード・ローゼンマン

                    https://www.facebook.com/BarStation

 



Vol.21
TVドラマ「コンバット」よりオープニングテーマ



懐かしいですね、この音楽も、ナレーションも…。米ABCで1962〜67年まで放送された「コンバット」は、戦後の戦争ドラマの原点とも言われている名作です。日本でもTBS系で同時期に放送されましたが、海外ドラマに接する機会がまだ少なかった時代、ヴィック・モローが演じたサンダース軍曹は強烈なイメージを残しました。物語の舞台は第二次大戦末期のヨーロッパ戦線。アメリカ陸軍第361歩兵連隊傘下のキング中隊、その中にヘンリー少尉が小隊長を務める第2小隊があり、その中にサンダースが率いる分隊がいるという筋立て。ドイツ兵が一方的にやられるのですが、彼らの悲哀が描かれていたり、ホロリとさせるドラマでした。「戦争を通じた人間模様」を描いた名作と言われる所以です。音楽はレナード・ローゼンマン。映画「エデンの東」で映画音楽の世界に鮮烈なデビューを飾った人ですが、ここでは一転、これ以上ない典型的なマーチを書いてその手腕の確かさを聴かせてくれます。


 ■■■ 作曲家の肖像

レナード・ローゼンマン(1924年9月7日~2008年3月4日)

 ローゼンマンの代表作といえば、1955年の映画「エデンの東」の、あの柔らかくも美しいワルツ風のメロディーですね。古き良き時代への郷愁を掻き立てるあの音楽、実は教え子だったジェームズ・ディーンから名匠エリア・カザン監督を紹介され、監督から作曲を依頼されたのだそうです。さらに…。それをきっかけに映画の音楽を手がけるようになったというのですから、彼にとっては記念碑的な作品ですね。

 当時、彼は前衛派の作曲家として本格的な活動を始めたところとでした。生まれはニューヨークのブルックリン。長じて、カリフォルニア大学バークレー校で音楽を学んでいます。1930年の西海岸にはバークレー校を核に、いわゆるナチス・ドイツに追われて米国に亡命した頭脳が割拠していました。

 作曲界でもエーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト、十二音階という現代音楽の基礎を作ったアルノルト・シェーンベルクがいたり、ロージャ・ミクローシュ(ミクロス・ローザ)やルイージ・ダッラピッコラといった蒼々たる作曲家たちがあちこちで教鞭に立ち、映画音楽の世界にも大きな影響を与えました。ローゼンマンもシェーンベルク、ダッラピッコラに支持しています。

 やがてローゼンマン自身が南カリフォルニア大学の教授に就任。現代音楽の作曲家として師譲りの十二音階などの現代音楽的な技巧を駆使して、「理由なき反抗」、「続・猿の惑星」、「ミクロの決死圏」、「ロボコップ2」といった映画の音楽、「ミステリーゾーン」や「コンバット」といったテレビの音楽を数多く手がけました。アカデミー賞は、1975年の「バリー・リンドン」、76年の「ウディ・ガスリー/わが心のふるさと」で編曲賞を受賞。83年の「クロスクリーク」、86年の「故郷への長い道/スター・トレック4」で作曲賞にノミネートされています。


 ■■■ 主な作品(wikipedia参照)

 ………映画

エデンの東(1955)
理由なき反抗(1955)
ミクロの決死圏(1966)
続・猿の惑星(1970)
バリー・リンドン(1975)
ウディ・ガスリー/わが心のふるさと(1976)
指輪物語・前編(1978)
クロスクリーク(1983)
故郷への長い道/スター・トレック4(1986)
ロボコップ2(1990)
ユーリー(2001)

 ………TVドラマ


ミステリー・ゾーン(1959)
コンバット(1962~1967)
ヒッチコック・アワー(1964~65)
特攻ギャリソン・ゴリラ(1967~68)





« 2013年11月 | トップページ | 2014年1月 »

2016年1月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ