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2013年10月 1日 (火)

★…「ニウスな夜」第26夜


 ブログを書くのは、2ヵ月ぶりになるでしょうか。8月は苫小牧と福井のコンサート、そこに店の移転などが重なって身動きが取れない状況で、9月は体調を崩して原稿を書くのがきつかったのです。そんな中で、恒例の「ニウスな夜」はなんとか続けていて、この9月25日、26日は「シリア、なぜ騒ぐ?」というお題で、シリア問題を通して、中東問題について話をしました。25日は5人だったのですが、26日は一日としては過去最高の19人の人が参加しています。


 中東問題のキモ、それは何と言ってもイスラエルの存在です。自分たちの国を持ちたいーーーそれが世界中に散らばり、第二次大戦ではホロコーストで根絶やしの恐怖にさらされたユダヤ人たちの悲願でした。その願いは戦後、国際連合の決定でイギリスの委任統治領であったパレスチナの地に土地が与えられてついに実現します。しかし、そこにいたパレスチナ人たち追い出して国を作ったことから、アラブ世界からみれば、イスラエルの建国は無茶苦茶な話でした。


 なので、アラブ世界は過去何度もイスラエルを潰そうと戦争を仕掛けました。それが第1次〜第4次にわたる中東戦争です。第4次中東戦争の時には、アラブ側がイスラエルを支援する国に対して原油の輸出を止めるという事態になってオイル・ショックが起きたことを覚えている人も多いと思います。


 しかし…。敵に囲まれているという国柄故の強さでしょうか、イスラエルは滅法戦争に強く、戦争のたびに逆に領土を拡張していきました。エジプトからシナイ半島を、ヨルダンからは東エルサレムやヨルダン川西岸を、シリアからはゴラン高原を、といった具合に奪ってきたのです。建国の時に西エルサレムを獲得、第3時中東戦争では東エルサレムも占領、ついにユダヤ教の聖地を奪い取りました。そんなわけで、イスラエルという国家を抹殺することーーー突き詰めて言えば、それがアラブ側の悲願になってきました。


 ところが、第4次中東戦争の後は、アラブが一丸になってイスラエルと事を構えられなくなっています。まずエジプトが79年に隣国であるイスラエルとの単独講和に踏み切って一抜け。その79年にイランではシーア派が主導する革命が起きました。パーレビ国王の下、親米国家だったイランはこの革命でイスラム色の強い国に180度方向転換してしまいます。そしてそのことが、アラブの中に波風を立てたのです。


 なぜかーーー。イランが加わったことで、イスラムのパワーは全体としてより大きくなるわけですから、イスラム教国家群(=アラブ側)にとっても大歓迎のはずです。しかし、イスラム教諸国の多くがスンニ派で、彼らからみると、シーア派主導の革命イランは「身内の中の異端児」となってしまいました。我々のようなよそ者からみるとスンニ派、シーア派のどこがどう違うのか解らないのですが、そのため、スンニ派諸国はこの30年近く、イスラエル潰しよりも、「身内の中の異端児」イラン潰しに力を入れてきたのです。例えば、サダム・フセイン時代のイラクがイランに攻め込み、「イラン・イラク戦争」が起きましたが、これもイラクがスンニ派諸国の代表として、イラン潰しをやったのです。「近親憎悪」とは凄まじいですね。


 そして、その対立が、シリアの内戦にも大きな影を落としています。シリアは国民の多数はスンニ派なのですが、シーア派の分派であるアラウィー派の人たちがアサド政権を支え、少数支配を続けている国です。つまり、イスラム教国家群の中では、イラン以外に唯一シーア派系が支配している国というわけです。故にイランは義勇軍を送ってまでアサド政権支援し、スンニ派諸国は(サウジアラビアなどの湾岸諸国やトルコなど)が反政府勢力を支援するという、イスラム教内の宗教戦争の色彩が強いのです。


 さらに、そこに大国の思惑が加わってきます。「アラブの春」で中東の同盟国を失ってきたロシアにとって、シリアは最後の同盟国。武器を買ってくれるお得意さんでもあり、タルトゥース港はロシア海軍にとって海外にある唯一の拠点です。それより何より、アサド体制の崩壊してしまうと、反政府派の中のイスラム過激派が次はロシア国内の紛争地、例えば、チェチェン地方などに入り込んでくることを警戒しています。そうした都合がある以上、ロシアのアサド政権支援はこれからも続いていくでしょうし、今回の化学兵器の問題でも、前面に立って話をまとめるという大胆な行動でアメリカの軍事介入を取り敢えずくい止めました。


 内戦の状況は最近、政府軍優勢と伝えられていますが、反政府勢力の一部が隣国トルコ領内に拠点を構えて出撃を繰り返している以上、政府軍が彼らを殲滅するのも難しい状況です。国連によると、2011年3月からの内戦の戦争死者はこの8月現在で10万人を超えました。国外に流出した難民は190万人と、シリアの人口の1割近くにもなります。また、国内避難民も425万人を数えるなど、このまま内戦が続くと、過去最大の犠牲を出した内戦ということにもなりかねない状況です。


 ニュースでは、アメリカの軍事介入ばかりが取り上げられますが、その前に国連がもっとリーダーシップを発揮しなくてはいけません。なのに事務総長は母国に都合の良いことを言って悦に入っているという体たらくで、まったくリーダーシップを発揮できていません。イラン、シリアのシーア派クラブは、シリアを舞台にしたスンニ派クラブとの戦いだけでなく、イスラエルにちょっかいを出す可能性もあります。そうなれば、「世界の火薬庫」に火が着くことになります。ここは平和維持軍(PKF)を編成し、犠牲を覚悟の上で軍事的な介入を行い、無理矢理に停戦を実現させなければいけないほどの状況なのです。

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