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2012年10月 9日 (火)

★…きょうのニュース解説 [ 10月9日 ] 返還された「ストラディヴァリウス」

 

 ヴァイオリニストの堀米ゆず子さん(54)、有希・マヌエラ・ヤンケさん(26)が愛用している楽器が相次いでドイツの税関当局に押収された事件が思わぬところに飛び火しました。ヤンケさんの楽器がきょう9日、無償で返還されたことでどちらも無事に決着したのですが、押収した税関当局の職員はそれに納得いかないと、返還を決めたショイブレ財務相を「音楽家の脱税行為を助けた」と脱税ほう助の疑いで検察当局に告発したのです。ドイツ大衆紙「ビルト」が8日付の紙面で報じたもので、「ちゃんと職務を果たしたのに何なんだ!」と現場が反発した格好ですが、いかにもドイツ人の生真面目な性格が伝わってくる話ですね。これがイタリアならねえ…。

 一連の押収騒動は、どちらもドイツのフランクフルト空港で起きました。同空港はヨーロッパ最大規模の国際空港で、欧州各地を結ぶ便が集まるハブ空港。8月にベルギー在住の堀米さん、9月にドイツ在住のヤンケさんのヴァイオリンが押収されました。EU(欧州連合)のルールでは、430ユーロ(約4万3000円)以上の価値を持つ高額物品を域内に持ち込む場合に申告が必要です(本来は細かい規則なんですね…)。しかし、二人とも申告しないで税関を通過しようとしたことから、密輸などの疑いを持たれました。堀米さんは評価額1億円の「ヨゼフ・グァルネリ・デル・ジェス(1741年製)」を押収されて関税約1900万円、ヤンケさんは評価額6億円の「ストラディヴァリウス・ムンツ(1736年製)」を押収されて関税約1億1000万円の支払いをそれぞれ求められました。

 どうしてこんなことが起きるのか…。それは、税関から見れば、高額な楽器も“骨董品”の一つにしか見えないからでしょう。音楽家から見れば、それがどんな高額な楽器であっても“音楽を奏でるため以外の何物でもない”わけです。しかし、立場変わって“骨董品”としてみれば話は違ってくるということです。実際、欧米には売買目的のためのコレクターも多く、しかもマネーロンダリング(資金洗浄)に使われる事件も起きています。音楽関係者や音楽ファンならアーティスト本人の顔を知っていたり、その楽器の来歴を知っていたりで、“音楽を奏でるため以外の何物でもない”と判断できる人もいるでしょう。しかし、たまたま窓口でアーティストの前に立った税関の職員にそれを求めるのは無理な話です。まあ、その隙間を埋めるのが、証明書類でしょう。しかし、これも疑えばいくらでも疑えるわけで、書類やホームページの偽造といったことも過去にあったわけです。

 ヤンケさんの「ストラディヴァリウス」は個人所有ではなく、日本音楽財団(塩見和子理事長)から貸与されている楽器です。財団は「ストラディヴァリウス」を20丁保有する世界最大のコレクターで、国籍に関係なく優れた演奏家に楽器を貸与して演奏活動を支援してきました。財団との貸与契約は9月に更新されていて、ヤンケさんは貸与証明書を提示しました。かなり客観的な証明書ですが、それでも関税を請求されたということは有効と認められなかったということです。

 もちろん、正論をいえば、二人とも赤のゾーンを(課税ゾーンを)通り、申告するのが筋です。ただ、演奏家が携行する楽器についてはこれまで、無申告の持ち込みが慣例として認められていたといった方が正確で、今回のフランクフルトのケースは特殊なケースです。職員がナアナアではなく、規則を厳格に適用した、ということでしょう。訴訟の行方にもよりますが、今後もし通関手続きが厳格になって今回のように押収されることが日常化すれば、音楽家も対策を考えないといけません。日本音楽財団のようなところの証明書も駄目というのならば、ドイツの文化省、日本の文化庁なりに楽器を登録するようにして「楽器パスポート」のようなものを発行してもらい、赤のゾーンを必ず通過してそこでチェックを受けるような仕組みを国際的に築き上げないと。一手間増えますが、それで面倒が減るのですから…。

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