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2012年9月

2012年9月30日 (日)

★…きょうのニュース解説 [ 9月30日 ] シリア内戦に欧米が介入できない理由


 お店のお客さんからよく、「シリアの内戦でなぜ国際社会は止めに動かないのか」と質問されることがあります。確かにこういう場合、国際社会が関与して内戦を押さえ込んできました。今回も国連がPKF(国連平和維持軍)を編成・派遣、割って入って戦闘を止めるのが普通です。ところが、肝心の国連が今、からきし駄目なのです。こういう時に戦争を止める役割を担う国連の安全保障理事会は、5つの常任理事国のうち、ロシアと中国が繰り返し拒否権を行使してアサド政権を擁護、PKFを派遣するといった実効性のある決議が出来ないのです。

 今回の内戦は元々、昨年のチュニジアの「ジャスミン革命」の影響を受け、アラブ各国で起きた「アラブの春」の波がシリアに波及、地方の住民たちが反政府デモを展開したことがきっかけです。それをアサド政権側が武力弾圧に出て内戦に発展しました。当初は国連の前の事務総長のアナン氏が特使として調停に当たり、一時休戦も実現したのですが、彼は有効な手が打てない安保理に失望して8月末で辞任、国連の停戦監視団も撤収しました。後任として国連とアラブ連盟から特使を任されたブラヒミ特別代表は9月24日、
安保理で紛争が近隣諸国にも広まる恐れがあるという厳しい見方を示しました。

 そうして時間を浪費しているうちに多くの一般市民が戦闘に巻き込まれて命を落としています。犠牲者は2万人を超え、15万人以上が戦火を逃れて国外に避難しました。ここにきて古都アレッポを(ジャーナリストの山本さんが射殺された街ですね)めぐる攻防戦が激化、ユネスコの世界遺産に登録されている市場地区も砲爆撃に晒されていると伝えられ、事態は悪化するばかりです。そして、ここに来てさらに混乱に拍車をかけているのが、宗教絡みによる周辺国の関与です。

 シリアは1946年にフランスから独立した後、70年の革命で、現在のバッシャール・アル=アサド大統領の父ハーフィズ・アル=アサド大統領が権力を掌握。それから親子世襲による独裁体制がずっと続いてきました。そのアサド親子、そして政権中枢はイスラム教の「アラウィ派」。一方、国民の7割はイスラム教の「スンニ派(最近はスンナ派という言い方も増えています)」で、国民の多くは長年の少数派支配に不満をため込んでいました。今回の反政府デモはそこに火が着いて始まりました。

 ところが、そうしたイスラムの宗派の対立関係が持ち込まれたことで話がややこしくなりました。「スンニ派」、そして「アラウィ派」に近い「シーア派」、その間の代理戦争のようになってきたのです。サウジアラビアやカタール、トルコといったスンニ派諸国が「自由シリア軍」に代表される反政府勢力を密かに支援。一方、「シーア派」も親分であるイラン、レバノンの
「シーア派」の軍事組織「ヒズボラ」がアサド政権を支持するといった具合です。それぞれが武器や資金を流しているとみられ、イランは革命防衛隊の兵士まで送り込んでいます。つまり、単なる“民主化の戦い”でなくなってきているのです。

 また、宗派間の影響力権争いだけではなく、イスラム世界の政治的な盟主の座をめぐる主導権争いも内戦に影を落としています。シリアは北でトルコ、東でイラク、南でヨルダン、西でレバノン、そして南西でイスラエルと接しています。シリアにとってイスラエルは、67年の第三次中東戦争でゴラン高原を奪った“天敵”です(両者の間にはPKOが入っていて日本も96年から自衛隊を派遣しています)。そう、アラブ世界の中の対イスラエル最前線なのです。シリアがアラブ世界でエジプトと並ぶ軍事大国になった理由もそこにあります。核開発ではシリアはイランの先輩格で、それに危機感を持ったイスラエル軍が2007年に核関連施設を爆撃・破壊しました。そんな国にどう影響力を及ぼすのか…周辺国の思惑が交錯しているのです。

 そのため、反政府勢力と言っても、「自由シリア軍」を筆頭に、バックの違う様々な勢力があって一括りに出来ない状況です。勢力間に対立もあり、まとまって“受け皿”となる暫定政府を作るところまでいっていません。それではアサド政権が倒れたとしても、無政府状態となる可能性が高い…。シリアの新体制について何も形のない現在、リビアの内戦には軍事介入してカダフィ政権を捻りつぶした欧米が、介入に二の足を踏んでいる最大の理由もそこにあります。

 ニューヨークで9月28日、アメリカはイギリス、フランス、ドイツなどアサド大統領の退陣を求める有志国約20カ国による「シリアの友人会合」を主催しました。その席でクリントン国務長官は、人道・反体制派支援のため新たに4500万ドル(約35億1000万円)の資金を提供すると表明しました。このうち1500万ドル(約11億7000万円)が反体制派組織の支援に回されます。しかし、今回も武器供与は見送りました。それがどこに流れるのか
(反米イスラム勢力に転じるようなところに渡っては大変ですから)、見極めるのが難しいという事情があるからです

 シリアの将来は、とりわけイスラエルにとっては死活問題です。彼らの唯一、最大の後ろ盾がアメリカ。アメリカの焦りもまた相当で、アサド政権が化学兵器を使用した場合の軍事介入も示唆しています。ただ、アメリカは今、体制転覆という目的は達成したものの結局は泥沼化した、イラクとアフガニスタンの戦争からやっと抜け出そうとしているところです。その轍を踏みかねない単独介入はなるべく避けたい…有名なキッシンジャー博士が反対するなど国論は割れています。

 さらにそこに、イランの核兵器開発疑惑に危機感を抱くイスラエルがどう動くか、その問題も絡みます。ネタニエフ首相が9月27日の国連総会の演説で、イランが遅くとも来年夏には核爆弾製造で最終段階に入るという見通しを明らかにしたことで、イスラエルによる空爆も現実味を帯びてきました。イラクやアフガニスタンの体制崩壊に始まり、それに続いた「アラブの春」が一面で民主化をもたらしたことは間違いないのですが、アラブ世界を揺さぶり、中東情勢全体を流動化させています。
シリアの内戦もまた、残念ながら混迷を深めていくことになりそうです。

2012年9月29日 (土)

★…きょうのニュース解説 [ 9月29日 ] どうなる厚生年金基金の後始末


 以前、AIJ投資顧問による年金消失事件が起きた時に書きましたが、あの事件で「厚生年金基金」が積立金の不足に陥っている惨状がクローズアップされました。そこで政府は9月28日、大きく舵を切りました。「基金」を廃止すると決めたのです。10月中に社会保障審議会年金部会に専門委員会を設置、年内に最終案をまとめるとしています。ただ、移行準備などが必要なため、実現するのは10年程度先。しかも積立金の不足は総額は1兆1000億円にもなります。課題は山積です。

 何度も書いてきましたが、年金の構造は3階建て、です。1階部分が基礎年金(=国民年金)、2階部分が厚生年金、3階部分が企業年金です。そして「基金」は本来、私的年金である3階部分の企業年金の保険料の運用をするのが仕事でした。ところが2000年になって、「基金」が厚生年金の保険料の一部を企業年金にプラスして運用することが認められたのです。これが、いわゆる「代行」です。加入者は本来なら国に払う保険料の一部を企業年金の保険料に加えて「基金」に納め、「基金」はそれを運用して支給するというやり方です。そして経済が右肩上がりだった時代には「基金」の多くが運用益を上乗せすることができました。

 しかし、バブル崩壊で状況は激変、多くの「基金」が運用益を出せなくなりました。それでもOBには予定利率の年金を支給しないといけない…年金を支給するための積立金が足りなくなる「基金」が出るようになりました。中でも悲惨なのは、企業年金部分の不足で終わらず、「代行」部分も積み立て不足に陥る「代行割れ」を起こしている「基金」です。こうなると、企業年金を諦めてもらうだけでは済みません。そしてその数、今年7月の調査で全国572の基金の半数にあたる286基金もあるのです。不足分の総額は、なんと1兆1000億円。運用益が出るような経済環境がこれから訪れる…それに期待してこのまま放置しておけば、さらなる財政悪化を招くことになります。そこで政府としては、「基金」は解散させて将来の被害を食い止めようという作戦です。

 ただ、「代行割れ」に陥っている「基金」は、厚生年金の保険料の一部を払っていないのと同じことですから、「基金」の加入企業にはこの不足分を返還する(補填する)義務があります。また、上乗せ年金の支給を止める…そこまでいかなくても上乗せ部分の予定利率を下げたり、追加の保険料を徴収して「基金」の収支を改善しないといけません。しかし、当初の条件を変更するにはOBの3分の2の了解が必要といった高いハードルがあります。それで新たな企業年金制度に移行出来るようになった02年、体力のある大企業を中心にその時点で赤字を穴埋めて「基金」を解散、「代行」を返上するところが続出しました。

 ということは…。今残っている「基金」は体力的に厳しいところが多いということですから、それらを解散させるのはもっと大変ということです。政府は既に不足分の返還について分割での支払いを認めるといった緩和措置を取ってきましたが、今後はさらに解散しやすくするため、そのルールを改正するとしています。例えば(1)返還しなければいけない額の減額を認める(2)積立金の返還については、複数の企業が加入する基金の場合は加入企業に連帯責任が負わされていました。そのため、どこかの企業が抜けると、残った企業だけでそれを負担するという悪循環が生まれ、その負担で倒産する企業も出ていました。その連帯責任制を廃止する、といった措置です。

 しかし、減額しても払えないところは出てくるでしょうから、最悪の場合は返還額ゼロを認めることもあるでしょう(これ自体、不公平という声が上がりそうですが!)。それによって最終的に不足する分を何で補填するのか…政府は厚生年金の保険料で補填しようというのです。それはずばり、「基金と無関係なサラリーマンの保険料を充てる」こと。これはこれで、公平性を著しく欠くことになります。加えて、財政が健全な「基金」も解散させられることになります。政府は解散前に他の企業年金の制度に移行するよう促すとしていますが、中小企業が単独で企業年金を維持するのは難しい…だからこそ基金に加入してきたという現実があります。それを無視した、これも大雑把な議論ですね。自民党は存続容認の姿勢を示しています。これからの議論の中で最終的にどんな結論になるのか、年金制度の根幹に関わるだけにしっかり見守る必要があります。

2012年9月28日 (金)

★…京阪電鉄「旧3000系」がラストランへ


 「テレビカー」。そう、車内にテレビが置かれている電車です。なんで電車の中にまでテレビが必要なのか…。そこは私鉄がしのぎを削っている関西、これも乗客サービスの一環だったのです。電車として初めてカラーテレビを搭載して1971年(昭和46年)に登場した「テレビカー」、京阪電気鉄道(京阪)の旧3000系特急車両が来春3月末で引退することになりました。それを前にこの29日から、オリジナルのヘッドマークを付けて中之島発出町柳行きの臨時快速特急として運行されると報じられました。


京阪電鉄のホームページから

 引退する旧3000系は、JR、阪急、近鉄、京阪が競合する大阪〜京都間に「京阪特急」として登場した車両です。89年(平成元年)に後継の8000系が導入されて「京阪特急」の座を譲りましたが、今も1編成8両が残り(2008年から8000系30番台と呼ばれています)40年以上も走り続けています。

 「京阪特急」のシンボルはハトをあしらったデザインです。現在の8000系「京阪特急」のヘッドマークは方向幕形式に変更されていますが、今回は95年(平成7年)にマイナーチェンジする前の、デビュー時から使われたアクリル製の差し込み式のものを使うそうです。また、昔の車両番号「3505」、「3006」も車体に表示、さらにラストランのホームページまで製作されていて気合いが入っています。それと肝心の車内テレビ…。ご心配なく、この8月から連結面の貫通扉上に液晶テレビがちゃんと復活しているそうです。

 ちなみに日本初のテレビカーは、旧3000系ではありません。最初に載せたのは京成電鉄で、1954年に日本テレビ放送網の協力を受け、1600系の車両に白黒テレビ受像機を載せています。

★…教育委員会は「学校教育だけに特化して再生すべし」というお客さんの提案


 きのうのお客さんと、教育委員会制度改革の話になりました。その中で、面白い提案がありました。存廃をいじくるような抜本的な改革の前にもう一度、教育委員会に「学校教育だけに専念する」チャンスを与えてみてはどうか、という提案です。「学校教育だけに専念する」…どういうことだろう、だって元からそうだろう、多くの人はそう思っているでしょう。ところが…。教育委員会の守備範囲は実に広いのです。身の回りの印刷物を見てみてください。主催や後援といったところに「教育委員会」の文字が躍っていませんか?

 試しにインターネットのサイトなどでも一度調べてみてください。こういう記述に出くわすと思います。<教育委員会の管轄は教育委員会は学校その他の教育機関を管理し、学校の組織編制、教育課程、教科書その他の教材の取扱及び教育職員の身分取扱に関する事務を行い、並びに社会教育その他教育、学術及び文化に関する事務を管理、執行する。教育委員会は合議により職務を遂行する>。

 これをみると、指摘の通り、“本業”である学校教育の現場になかなかエネルギーを割けない、ということが解ります。例えば、社会教育全般(青少年教育、女性教育、生涯教育など)、スポーツに関すること、文化財の保護に関すること、それにユネスコ活動に関すること…そこまで彼らの守備範囲です。だから抜本的な改革の前に「学校教育だけに専念する」ような斬新的な組織改革を試してみたら、というわけですね。

 試しに私の住む鯖江市のホームページを見てみると、教育委員会の下に教育委員会事務局があり、その下に以下の4つの課(1)教育政策課(2)生涯学習課(3)文化課(4)スポーツ課があります。このうち学校教育現場の日常を担当するのは(1)教育政策課ということですね。ならば、他の3つの課を「健康福祉部」の下に移し、教育委員会は(1)教育政策課を通じて「学校教育だけに専念」してもらってはどうでしょう。ついでに「健康福祉部」も新しい3課が加わるのですから、「はつらつ健康部」あるいは「元気部」といった、もうちょっと「市民が楽しい生涯を送るための施策をしているセクション」といったイメージの名前に変えてはどうでしょう。

 もちろん、こうした制度をいじるだけでは駄目でしょう。教育委員会が抱える問題は組織の中にも潜んでいます。現行の教育委員会制度は元々、アメリカの占領政策の一環として導入されたものです。アメリカは戦前の日本の軍国主義が中央集権的な教育制度によって培われたと考えていました。それを変えないといけない…。そこで教育行政を、アメリカの教育委員会制度をモデルにした「地域住民の代表で構成される合議制の教育委員会」の下に置こうとしました。教育行政の地方分権化、民主化の確立、それが目標だったわけです。

 ところが、まず委員の公選制がなくなりました。そして独立性の高さだけが残ったことで逆にとてもインナーでアンタッチャブルな世界になっていきます。その後、市長の任命制も導入され、委員の顔も見え難くなりました。そしてそれに輪をかけたのが、教育界の中での労使の馴れ合いです。

 人事権を持ち、国からの命令を現場に指示する教育委員会は本来、日本教職員組合(日教組)とは緊張関係にあるはずで、実際にお互いを牽制していました。ところが1980年代に政府の臨時教育審議会による「教育の自由化論」の中で教育費の国庫負担削減が浮上すると、文部省、教育委員会、日教組がそれまでの対立を忘れたかのように“教育のパイ”を守るために共闘するような状況となりました。こうなると、教育委員会、現場、組合が既得権を守るため、自分たちの不都合には触れない「なあなあの世界」で、大津や西宮でも明らかになった隠蔽体質とずさんな仕事ぶり、地方で表面化する教員子弟のコネ採用の根源も、ここにあります。

 そういう組織を一朝一夕に変えることは出来ませんが、だからといって諦めるのがいちばん駄目なわけで、今より少しでもマシなものに変える努力を、我々は続けなければいけません。大津の越市長は教育委員会について、置くかどうかについても、自治体の判断に委ねるべきとしています。その理由は「責任の所在があいまいで制度として無理がある」。加えて、「教育委員は選挙で選ばれておらず、市民の声が反映されていない」と指摘しています。

 実際、大津の場合は、説明に出てくるのは暴漢に襲われた教育長ばかり。制度上、自治体の教育行政の最高責任者である教育委員長はまったく説明責任を果たせていません。想像するに「説明しようにも何が何だかわからない」というのが実情なのだと思いますが、教育委員会という組織が「市民への責任を果たすことも出来ない人をトップに戴いている組織なのだ」ということをいみじくも象徴しているのです。

2012年9月27日 (木)

★…きょうのニュース解説 [ 9月27日 ] みんなの党は出直しを


 かつては「第三極」の中心とみられた「みんなの党」が揺れています。11日に小熊慎司、上野宏史、桜内文城の3人の参院議員(いずれも比例代表)が党を離れました。きょう27日には、代表の渡辺喜美衆議院議員(衆院栃木3区)のお膝元である栃木県大田原市で、渡辺氏を支援してきた会派「新政会」所属の市議6人全員が離党することが表面化しました。6人は2009年8月の結党以来の古参メンバー。それが次期衆院選では渡辺氏の対抗馬として栃木3区から出馬する自民党新人を全面支援と、いきなり敵に回ることになりました。

 「みんなの党」は自民党を離党した渡辺氏や、橋本龍太郎内閣で首相秘書官を務めた江田憲司氏(=幹事長)ら衆参5人の議員で発足した政党です。政策を「アジェンダ」と呼ぶ新しいスタイルを採用(私には何でわざわざカタカナで呼ぶのか未だに理解しがたいところがありますが…)、「脱官僚」や「税金の無駄遣いの解消」という目玉政策、都市型の政策を掲げたことで、二度の国政選挙を通じて衆院5人、参院11人と勢力を拡大。民主、自民の二大政党に組みしない「第三極」として一定の評価を集めてきました。しかし、渡辺氏が「大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)」との連携に前のめりになったこと、そしてそれが結局ご破算になったことで党内が混乱してしまいました。

 渡辺氏の“合体案”は「みんなの党を母体にして大阪維新の会の政党化を図ろう」という事実上の維新吸収案です。「新党を作ろう。名前はみんなの維新。党の代表は俺と橋下さんの2人代表で」と提案したと報じられています。しかし今、政治的な勢いは誰が見ても「大阪維新の会」の方が上でしょう。案の定、8月20日に渡辺氏が橋下徹市長、松井知事氏と会談して腹案を提案したところ、あっさり拒否されました。それどころか、「みんなの党の党名は残さないこと」、「支部長全員の合流は認めない(維新側が審査するということですね!)」と逆提案までされました。

 この会談の直後、渡辺氏が親しい記者たちと飲んだ席での様子をまとめたオフレコメモが永田町を駆け巡りました。メモには「あんなシロウトを集めた連中が官僚と対決できるのか」といった愚痴の連発だったとされ、渡辺氏は男をまで下げました。また、党を解体してまで合体という腹案を、事前に党内にも伝えていなかったことも露見しました。独断で交渉した上に失敗…。党を引っ張ってきた「顔」とはいえ、あまりの独断専行でしょう。

 この収集のため、「みんなの党」は9月5日に緊急の両院議員総会を開催、改めて「大阪維新の会」との連携を討議しています。しかし、ここでも議論は紛糾。連携派の議員からは、解党して維新の会が結成する新党「日本維新の会」へ合流しようと、その場で解党要求まで飛び出しました。そして話は渡辺代表に当面の対応を一任…。その決定に失望した“新党合流派”の小熊慎司、上野宏史、桜内文城の3人が11日に離党してしまいました。

 こうなると、この後の「みんなの党」と「日本維新の会」の関係も微妙です。うまくいけば連携しての選挙協力も実現しそうだったのに、一転して同じ選挙区に候補者をお互いに立てるといった話まで飛び交うようになってしまいました。次期総選挙での非民主、非自民勢力の結集も風前の灯火です。それもこれも渡辺氏自身の資質に原因があります。「第三極」の受け皿の座を「大阪維新の会」に奪われつつあるという焦りもあったのでしょうが、腹案を拒否され、逆提案までされたことで逆ギレしてしまい、「ふざけるな、俺を誰と思っているんだ」では…「上から目線」もいいとこです。政党の党首としてもう少し大きな技量を見せて欲しいものです。

 総選挙が近づいて来たことで、ここにきてどの政党も彼らの考え方に近い政策を打ち出してきました。そこで彼らが埋没しているのも事実でしょう。ただ、9月16、17日に行われたテレビ朝日の「報道ステーション」の調査(全国1000人・回答率53.3%)では1.9%(マイナス1.7%)で、支持率は共産党(プラス1.2%)と肩を並べています。日本維新の会は1.7%プラスで4.7%ですから、彼らの主張にはまだまだ一定の支持があるということでしょう。彼らの公務員制度改革などには目を見張るものがあり、こういう政党も必要です。志のある人を新たに仲間に加えて体制を立て直して初志貫徹を、人事ながらで頑張ってもらいたいものです。

2012年9月26日 (水)

★…次回の「ニウスな夜」第9夜は「沖縄の逆襲」でいきます!


 さて、等身大のニュース解説「ニウスな夜」です。私が折々のニュースについて、資料を使いながら2時間ほど解説をしていますが、次回は10月3日(水)、4日(木)午後7時半から行います。これまで「女性宮家」、「橋下旋風」、「尖閣諸島問題」、「原発」、「北陸新幹線」、「年金」、「生活保護」、「竹島問題」、「エネルギー新時代…メタンハイドレート」と続けてきましたが、次回のお題は「沖縄の逆襲」。自立しつつある沖縄の経済の現状、そして自信を持ち始めた彼らの中で台頭してきた沖縄独立論についても探っていきます。

 沖縄というと、一昔前は観光と米軍といったキーワードで語られるイメージでしたが、本土頼みだった沖縄経済にもここに来て大きな変化が出ています。日本とアジアの中間に位置するという地理的なメリットを生かし、周辺エリアの経済を取り込むことに成功しつつあるのです。例えば、物流。全日空とヤマト運輸が日本とアジアを結ぶ航空貨物のハブを那覇空港においたことで、なんと荷物取り扱い量が数年で150倍に急増、国内第3位に急浮上するといった具合です。

 また、沖縄県は人口120万と小さい県ですが、年齢構成的にまだ若い県であるところも経済成長には強みとなっています(本土と年齢構成がずれているわけですね!)。また、
マルチビザの発給が認められたことにより、中国からの観光客も増えており、外資のホテルの進出で第二次「リゾートブーム」の到来が期待されています。沖縄と言えば、とかく基地問題ですが、沖縄の人たちの米軍基地返還要求が今では、かつてのようなイデオロギー絡みから来るだけではなく、経済発展のための基地跡地の商業開発に目を向けたものに変わってきている…、そのことに私たちは気付く必要があります。

 3日、4日とも同じ内容で話をしますので(1日15人)、都合の良い日にご参加ください。会費はコーヒー飲み放題付で1500円、希望者はメールでご連絡ください。

 では、当日!
 

★…きょうのニュース解説 [ 9月26日 ] 中国初の空母は怖くない


 中国のネット・メディアは25日、中国初の航空母艦が「遼寧(りょうねい)」が就役したことを一斉に報じました。配備先は北海艦隊の本拠地である青島とみられます。大連港では祝賀式典が行われ、胡錦濤国家主席(中央軍事委員会主席を兼ねています)、温家宝首相が出席しています。トップ二人が顔を揃える最上級の式典が行われたことからも、その期待の大きさが解ります。この時期に就航させた狙いは、日本への牽制というより、10月1日の国慶節(建国記念日)を前にしての国威発揚にあるとみられます。そのニュースを聞いた知り合いたちから「実際はどれくらいの性能なの?」といった問い合わせが相次いでいます。


©新華社

 さて、「遼寧」は未完に終わった旧ソ連海軍の「ワリャーグ」を大改修したものです。中国は1998年、この半ばスクラップ化していた「ワリャーグ」を「海上に浮かぶカジノとして使う」と購入、2002年に大連港に運び込み、05年から改修を施し、昨年から試験航行を続けていました。全長約305メートルで満載排水量6万7000トン、もちろん中国海軍最大の軍艦です。ロシアの「スホーイ33」をコピーした国産戦闘機「殲撃(せんげき)15型=J-15」など艦載機を30機程度搭載出来ます。どんな名前になるのかオタクの間で話題になっていましたが、どうやら中国海軍は今後、空母に「省」の名前を付けるようです。遼寧省は瀋陽市が省都です。ちなみに駆逐艦には「蘭州」といった大きな都市の名前が付いています。

 ところで、問題は「遼寧」の就役が日本にとって脅威になるか、でした。まあ、個人的な見解を言えば、「張り子の虎」とまでは言いませんが、「恐るるに足らず」というのが正直なところです。というのも、空母として元々の出来があまり良くないのです。最大の弱点は離着陸自体が非常に難しいところです。

 「ワリャーグ」はソ連時代、「アドミラル・クズネツォフ」級の2番艦として計画されたのですが、ソ連は艦載機を力ずくで空中に押し出す「カタパルト」を開発出来ませんでした(この技術はなんとアメリカしか持っていない!)。これがないと、艦載機は甲板を滑走して発艦しなければいけません。それに合わせた長い甲板も必要になります。そこで機体が浮きやすいように先端を上に反らせたスキージャンプ型の飛行甲板を採用しているのです。それでも今の長さで「J-15」の推力では、燃料満タン、フル武装での離陸が厳しいとされています。また、船体が波で前後に上下する中での離陸も(前が下がりますからね)危険視されています。一方、発艦時には艦載機の揚力を稼ぐため風に向けて速度を上げますが、「遼寧」には当初設計の蒸気タービンエンジンが積めなかったそうで、出力不足で揚力を確保出来ないのではないかとみられていることです。

 二つ目の問題は、空母があっても、1隻では何も出来ないことです。空母は攻撃に弱いため、周囲を対空、対艦、対潜能力を持った駆逐艦などで護衛しつつ行動します。米国の場合、通常はイージス駆逐艦や攻撃型原潜など10隻前後による「空母打撃群」を運用しています。その機動部隊を、中国海軍はまだ現時点で編成できないのです。新型駆逐艦の整備を急ピッチで進めていますが、黄海・渤海湾担当の「北海艦隊=司令部・青島」、東シナ海担当の「東海艦隊=司令部・寧波」、南シナ海担当の「南海艦隊=司令部・湛江基地」という3つの艦隊の世代交代を進めるのに手一杯、専用の機動部隊の整備にはまだ時間が掛かります。

 三つ目は、その機動部隊を外洋で長期的に運用するには10年以上の経験が必要なこと。さらに言うと、空母を常に前線に置いておくためには、修理などのローテーションのため最低三隻は必要なのです(前線で戦闘中の1隻、前線に移動中の1隻、前線を離れ帰投中の1隻)。そのことは中国も解っていて、まず2014年までに「遼寧」と同程度の通常動力型の空母1隻を建造、20年頃には中国初の原子力空母を進水させるという計画を持ち、空母機動部隊を3隊編成するという目標を持っています。そのため、「遼寧」は経験を積むための訓練空母的な役割を持たされていて、シップナンバーも「19」という訓練用の軍艦に付けられる2桁の数字です。

 中国は就役に先立ち、2006年に海軍関係者を「ロシアの艦上航空隊科学試験トレーナーセンター」へ派遣、それを真似た訓練センターを北海艦隊主力基地でもある遼寧省・葫蘆島などに建設しています。そこで「遼寧」の飛行甲板を模した滑走路で「J-15」の離発着訓練を既に始めていますが、実艦での訓練はまだ行われていません。中国がまず最初にぶち当たる壁は、この訓練でしょう。なにしろ揺れているところからの離発着ですから、最初のうちは離着陸に失敗する可能性もあります。それに限らず、問題はこれから次々に出てくるでしょう。あのロシアですら、空母をベストな状態で運用するのに手を焼いているというのが現状なのですから。

 まあ、空母があれば軍は威容を誇れます。アメリカ、フランス、ブラジル(フランスの中古ですが)はカタパルト装備の正規空母を所有、ロシア、インドは中国と同じようなカタパルト無しの空母を(インドはロシア製)、イギリス、イタリア、スペイン、インド、タイは垂直離着陸機(VTOL機)を搭載した軽空母を所有しています。しかし、その中で本当に空母を手の内に入れて完璧に使いこなせているのはアメリカだけ、です。

 中国には「遼寧」に搭載できる早期警戒機もありません。加えて、中国海軍はヘリコプターによる対潜水艦作戦の能力はまだまだ低いので、護衛艦隊をかき集め、それを伴って外洋に出て来てくるにしても、当面は優秀な海上自衛隊の潜水艦部隊を見つけることが出来ず、いいように沈められてしまうでしょう。その意味では、きょう、あしたといったレベルではまったく脅威にはなりません。ただ、20年ほどの間に彼らは運用の経験を重ね、同時に本格的な空母機動部隊を整備してくるでしょう。日本防衛、台湾防衛について、そうなることを前提に今のうちから考えておかないといけません。

2012年9月25日 (火)

★…きょうのニュース解説 [ 9月25日 ] 中国の国有化撤回要求を警戒


 きょう9月25日は40年前、北京で日中国交正常化交渉が始まった日です。記念すべきこの日、皮肉にも過去最悪に落ち込んだ日中関係を打開する糸口を探るため、北京で外務事務次官同士による会談が行われました。反日デモ以来、日中間で行われる会談としては最高レベル。4時間も行われましたが、報道によると、一致したのは「引き続き意見を交換していくこと」だけです。中国側のホームページには「実際の行動で誤りを正すことを求めた…」という文言があります。それを見る限り、国有化の撤回を求めてくることは確実です。これでは…。緊張は続きますね。

 きょうは台湾の漁船約40隻が尖閣に押し寄せました。台湾の馬英九政権はこれまで「尖閣問題については中国と協力して解決しない」という姿勢でした。中国と対峙する上で重要なのは台湾を味方に引き込むことですが、今回は海岸巡防署の巡視船8隻を同行させ、海上保安庁の巡視船の漁船への放水に割って入る行動に出ました。反日世論のガス抜きのため、取り敢えず日本に対するファイティングポーズを取ったという見方もありますが、公船同士の衝突を誘発しかねない、中国当局もやらない危険な行為です。

 海上保安庁はこの数日、中国の漁業監視船や海洋監視船が領海侵犯を繰り返しているため、巡視船約50隻を投入して周辺海域で厳戒態勢を敷いています。中国はこの先、日本が音を上げるまで漁業監視船や海洋監視船、そして漁船などをジャンジャン出してくるでしょう。上陸を試みようとする漁船を追い返したり、漁民を拘束したり…。それが10年、20年続くことを日本と日本国民は覚悟しないといけません。

 当面は凌げるとしても、いずれ海保の通常業務に影響が出てくることは必至です。知り合いによると、海保は巡視船を121隻、小型の巡視艇を236隻保有していますが、尖閣諸島は最も近い石垣島でも約170キロ離れているため、小型の巡視艇では対応できないと言います。1.300トンクラスの巡視船は1隻約50億円。1隻1.500億円という海上自衛隊のイージス艦に比べれば30分の1です。取り敢えずは巡視船の増備を急がないといけません。

 その一方、法律の整備も急ぎます。海保は今、漁船に対しては「漁業法」などで対応しています。もちろん、漁船側に武装の可能性がある場合には「海上保安庁法第20条」に基づく武器使用も認められています。ただ、相手が公船の場合は、退去要求(呼びかけ)しか出来ません。実際に排除するため、「領海警備法」の制定を急ぎ、領海内での「無害でない活動」に対しては武器の使用も含めて必要な措置を取ることが出来るような権限を海保に与える必要があります。

 日本人は潔癖性が強いので曖昧な状況を早く解消してすっきりしたいと動く傾向があります。漁船がいつまでも押し寄せてモヤモヤが何年も続くうち、魚釣島に自衛隊の部隊を…それで軍事衝突が起きたら「ガツンとやってやれ」という世論が高まってくるでしょう。中国海軍が出てきて海自との間に軍事衝突が起きれば、局地的に日本側が圧勝する、それが専門家たちの一致した見方です。そう、自衛隊が使えれば事は簡単なのです。もちろん、そのためには自民党の総裁選に出ている石破氏が指摘しているように領海侵犯に対応する交戦規定などを含めた法整備などが残っていますが。

 しかし、自衛隊を動かすには、実際には「その後のこと」があるだけにアメリカの“許可”を取り付けないといけません。その時、アメリカは緊張を生んでもらっては困ると待ったをかけてこないか…。アメリカは先のパネッタ国防長官の訪日、訪中を通じて「尖閣問題は日米安保条約の提要対象」と強調していますが、軍事衝突がどこまでエスカレートするか解らない上、日本からも中国からも資金が流出して世界経済の崩壊を招きかねないだけに「軍事衝突ノー」が本音です。中国が先に手を出してこない限り、アメリカの“許可”は出ないでしょう。そして、中国はそれを解っています。中国は日本がよほどの“挑発”をしないと出てきませんが、陸自部隊の進駐といった挑発自体にアメリカはクレームを付けるでしょう。いったい、どっちの味方なのか…。世界最高水準の軍事力を持ちながら、アメリカの許可なくそれを行使できない。

 何のことはない、軍事的に中国を打ち破るという選択肢は、政治的な理由によって最初から我々にはないのです。アメリカに軍事的に依存してきた結果がこれです。そういう立場から現状を冷静に見つめ直さないといけません。何年にもわたる嫌がらせ、硬軟取り混ぜての揺さぶり…。中国というマーケットと生産地を失う経済界がどこまで持つか、それが心配です。彼らが音を上げた瞬間、日本は実効支配を失うことにもなりかねません。

2012年9月24日 (月)

★…本音で考えよう、教育現場の改革を急がないと


 劣化した教育界をどう立て直すのか。まずは今の採用方法から変えることです。例えば、小学生、中学生の教員の採用の条件に「社会人経験3年必要」を入れるのです。大学卒業後3年間、民間企業でサラリーマンをして「来ないと」試験を受けられない、という方法に変えてみてはどうでしょう。本当に教員になりたい人にとっては3年間の空白は我慢できるでしょうし、そういう情熱を持っている人にこそなってほしいものです。サラリーマンの世界で見たこと聞いたこと、体験したこと感じたこと、それらが「先生」の糧になるでしょう。

 そして大事なのは2年間ではなく、3年間というところです。2年では大学院に行ってその間に社会人経験を偽装する人(知り合いの会社で働いていたことにしてもらうなど)、大学院に行っておけば採用試験に受からなくても後々損にはならないという「教員を滑る止めに考える」人を排除できません。それに仕事を一通り覚えるのに3年、というのは共通認識です。それを経験した人にこそ試験を受けてもらいたいものです。ただ、それでもまだ25歳前後、社会ではまだ人に教えるような年回りではありませんが、新卒者を入れている今よりもマシでしょう。改革とは、今よりもマシなことをすることです。

 サラリーマンとして働いている間に学力の低下は心配ないのか、そんな声があるかもしれません。しかし、小学校、中学校で教えていることは、第一線で働いているサラリーマンにとっては常識的な知識です。そして教えるということを語るなら、むしろ教え方、その方がより重要な立脚点でしょう。また、教員に求められる能力の一つに、一人ひとりの子供にどう向き合うか、といったことがありますが、そのどちらにしろ、社会人経験のある人間の方が新卒者を上回ると思います。

 では、高校はどうするのか…。そうやって採用した人たちの中で、さらに5年経験を積んだ人たちから採用していくのです。その間、教員生活の中で高校の教員に求められる勉強をしてもらえばいいのです。社会人生活3年、教員生活5年の計8年。「桃栗三年、柿八年」です。それを毎年繰り返していけば、福井県にはやがて民間経験がない人は誰もいなくなります。県の採用方法を変更するだけなので、今年からでも出来ると思いますし、新卒が途切れる3年間の穴埋めも、全体という大きな森を見ればどうということない問題です。

 一方で採用試験も大きく変える必要があります。採用試験は教育委員会が行っているのですが、教育界と県の関係者以外の、いわゆる普通の市民を面接試験の場に入れ、人物評価を行うことです。もちろん、コネが効かないようにするということもあります。しかし、それよりも大事なことは、親という立場でこの人に任せても大丈夫か、という視点を入れるところに意味があります。一般市民を入れるということは、PTA関係者の代表を入れるということではありませんから誤解なきよう。PTA関係者こそ、ある意味では学校関係者との癒着が疑われるからです。

 では、どうやって人を選ぶんだ、という人がいますね。しかし今は、全国民を対象にした裁判員制度があり、無作為に市民を選ぶということが何の問題もなく行われています。そのシステムを使わせて貰えばいいではないですか。システム自体は国の予算で構築したもの、たまにしかない裁判のためだけに遊ばせておくのは、それこそ“国家的な勿体ない”でしょう。そりゃ、生活保護を貰ってパチンコに入り浸っているような人が面接官に当たるということもあるでしょう、でも、それも世の中の“実態”なのです。

 さて、ここまで採用の話を書いてきました。次は、彼らを受け入れる側の話も書かないといけません。まずは学校の現場です。これはいくつかの自治体が試行錯誤を重ねている「校長の公募制」を実施するしかないでしょう。教育畑でしか生息できない人たちの中からしか選ばないからこういうことになっているのです。その流れを変えないといけません。そして肝心なことは、それを一部ではなく、全面的にやることです。内部からでも、若くして校長に応募する人がいればそれを審査すればいいのです。審査の方法、それは教員の採用試験と同じようにやればいいのではないですか。
外部校長の導入は、教員という立場にしがみついていこうという人の息の根を止めます。

 そりゃ、初めての現場で立ち止まる人も出るでしょう。しかし、その人と保護者たちのやりとりの中で、教育は専門家たちの問題ではなく、広く社会で考えていく問題なのだということに気付く人も、教育者側、保護者側問わずたくさん生まれるはずです。モンスターペアレンツが幅を効かせる原因は、教育の現場が建前を壊すわけにいかないから硬直化してしまい、反論できず、サンドバックになってしまっていることにも大きく関係しています。教育の現場にも間違いが起きる、そういったことが社会の前提となり、認知され、現場がケースバイケースで柔軟に対応していくことということが普通に行われるようになれば、モンスターペアレンツの出番はなくなるでしょう。

 ところで、ここまで書くと、現行の教育委員会制度についても書かないわけにいきません。大津、川西の例を見るまでもなく、学校という現場を監督するはずの教育委員会が何をやっていたのか、何をやっているのか、報道ではさっぱり解りません。それくらい形骸化しているのです。市長が任命する委員はたまにしか来ない名誉職です。その程度の組織を建前で後生大事にするから、現場は物言わなくなり、教員たちの自発性が失われてきたのです。そういうと、現場が暴走したどうする、という声が起こるかもしれません。ならば、議会にその任を負わせればいいではないですか。議員は選良です。教育委員会は、メンバーの任命権を市長が握り、票集めのために存続しているようなもの。もう歴史的な使命を終えました。

 地方議会という取り敢えずの意見集約機能を持ったところと教育の現場が手を携えて地元の教育を支えていく、そうやって日本を再生させていくしか、もう手がないではないですか。誤解して欲しくないのですが、教員として生きている人、これからなる人、そのものが悪いのではありません。悪いのは彼らを生かすことができない(いや、殺してしまう)、現行の、これまでの仕組みです。でも、こんなものは我々で変えることが出来るのです。それをやらないでどうするのです。

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2012年9月23日 (日)

★…きょうのニュース解説 [ 9月22日 ] なんとかしないと、この教育界の劣化


 呆れます。兵庫県川西市の県立川西明峰高校でいじめを受けていた高校生A君が自殺した問題ですが、この高校の生徒指導部長の男性教員が授業中、生徒たちに対して「自殺後の高校の対応を両親が理解してくれず、学校行事の開催も難しい。このままでは学校がつぶれてしまう」と発言していました。本人も認めています。ここまでくると、教師失格といった話ではなく、この人、人として、人の親としてどうよ、という話でしょう。

 校長も何なんでしょう。A君の両親に対して「亡くなったことを学年集会で説明する際には、自殺でなく不慮の事故だったことにできないか。」と打診しているのです。その理由が「一般的には、ご遺族が、自殺という言葉を使ってほしくないということで…」、自分たちの都合の良い話に持っていくための詭弁です。高校では6月下旬、A君に対するいじめについて同級生が担任教諭に相談していました。担任はいじめ行為をした生徒を指導したと言っていますが、A君への聞き取りや保護者への連絡はしておらず、形ばかりの対応と報じられています。そして担任は19日の保護者会にも欠席、自分の言葉で説明することすらしません。

 なぜか…。いじめを見て見ぬふりをしていた…自分たちのやましさを責められたくない、それだけですね。所詮、彼らにとって「いじめへの対応、いじめの解決は面倒なこと」だったのです。今、A君に対して「余計なことをしてくれた」といった思いすら抱いているのではないでしょうか。そして、後は自分たちに傷が付かないように「事を出来るだけ小さく納めること」を考えている。そこにはA君への思いなど微塵もない、ということでしょう。

 保身に汲々とするその姿、そこには教育者として姿はありません。というか、人としての温もりすら感じません。大津の皇子山中学校のいじめ事件もそうですが、言い訳に出てくる人たち、どの人も「いちばん先生に(教員に)なってほしくない」というような人たちです。ということは、大津や川西に限らず、教育の現場は日本全国どこも似たような状況に陥っていると思わざるを得ません。

 教育という現場は“人をして人を鍛える場”です。ですから大人、子供関係なく、人としての熱い血がぶつかり合う場であって何の不都合があるのでしょう。いじめはもちろん、毎日何事かあって当然、逆に言えば「穏やかな日がない」、そういう世界であって当然です。そして、その何事かの中で、教員という職業を選んだことの喜怒哀楽を感じるような人間が現場に溢れないといけません。

 ところが、現状はまったく逆、とにかく事なかれ主義に染まってしまっています。教育界をそういう状況に追い込んだ背景には、「モンスターペアレンツ」に代表される父兄たちの圧力が肥大化したことが大きく影響しています。ただ、親からの圧力も所詮、「何事かある毎日」の中の一コマでしかないのです。問題は教員たちにそういうことに対応できるだけの社会的応力、人間力自体が欠けているからでしょう。言い換えれば、彼ら彼女たちに動物的な強さが失われてきている、とでも言うか…。

 今の仕組みでは、大学を出たばかりの22歳の若者がいきなり「先生」です。その世界に入れば、周りに批判する人がいない。しかも、教員の二世、三世という人間も多く、周りも恩師や知り合いの二世、三世という、極めて狭く、閉鎖的な世界の中で周りの目を気にして生きています。つまり、人間を人として成長する機会に恵まれていない現状があります。これでは世間と大きくずれてしまうのはある意味で当然でしょう。

 まさに教育界は制度疲労を起こしてしまっているのです。なぜこんなことが放置されたままなのか。日本の再生があちこちで叫ばれますが、社会の根底を支える教育の再生こそ最も急がないといけません。彼らの閉鎖的な世界に風穴を開けるため、我々は失敗を怖れず、勇気を持って色々なことをドンドン試していかないといけません。まずはもっと“人間的に逞しい人”を教員に採用するため、採用方法の改革から始めてみてはどうでしょう。私なりに具体策を考えて、近く皆さんに問いかけてみようと思います。

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2012年9月22日 (土)

★…きょうのニュース解説 [ 9月22日 ] 大津のいじめ事件で隠蔽を許すな


 大津の男子中学生が(当時13歳)いじめを苦に自殺した事件は、遺族が真相究明と賠償を求めて市などを相手取って大津地方裁判所で民事訴訟を起こしています。その裁判を通じて、今になって新しい事実が続々と表に出て来きています。こうしたことも、滋賀県警の強制捜査やこの裁判がなければ闇に葬られたかも知れません。そして、そこで改めて浮かび上がってくるのは、学校側の隠蔽体質です。しかも隠蔽の事実が明らかになっても学校側は相も変わらず言い訳に終始しています。本当に心の底から呆れかえります。

 それにしても未だに怒りが収まりません。まずは18日です。この日、裁判の第3回口頭弁論がありました。その席で市からメモが提出されました。自殺前に起きた暴力事件についての「いじめ行為と捉え指導する」と書かれたメモです。これまで学校側は、いじめを把握していなかったと説明してきましたが、このメモの存在は事前に認識していたことを裏付けます。新聞各社は遺族側代理人弁護士の話として、メモでは男子生徒が亡くなる6日前の昨年10月5日、加害者とされる同級生の1人が男子生徒をトイレに呼び出し、殴ったことなどが報告され、「いじめ行為と捉え、被害生徒を被害者として指導する」と書かれていたと伝えています。

 続いて19日。自殺当日、校長に「いじめがあった」とする「生徒指導連絡書」が提出され、それが校長の手元で放置されていたことも明らかになりました。連絡書は生徒指導担当教諭が生徒の自殺前の状況をまとめたもので、生徒が同級生から校内のトイレで暴行を受けたとされる件について、「これはいじめ行為。加害、被害の両生徒とその保護者を呼んで指導する」といったことが書かれていたと報じられています。連絡書の提出が自殺当日ということにも驚きますが、校長はこの連絡書の存在も教育委員会には報告しておらず、当然ながら提出していませんでした。これも滋賀県警に押収され、そのコピーが市に渡されたことでその存在が明るみに出ました。

 さらに20日。中学校の養護教諭が自殺の1週間前、生徒がいじめの加害者とされる同級生に殴られたことを知って担任教諭に伝えていたこと、そしてその事実を学校側がメモにまとめていたことが明らかになりました。市の教育委員会によると、メモは生徒の自殺後、学校側が養護教諭から聞き取ったもの。内容をまとめるとこうです。(1)10月4日、けがの手当てのため生徒と同級生が一緒に保健室を訪れた(2)自殺した生徒は「顔を殴られた」と話した(3)同級生は殴る際に手を負傷したと言って「イライラするので殴った」と説明(4)このため、養護教諭は担任に書き置きを残し、口頭でも「様子がおかしい」と報告した。しかし、校長はメモの存在を伏せ、教育委員会へも報告していません。これも滋賀県警に押収されたことでメモの存在が明らかになりました。

 いったいどこまで隠蔽が続くのか。校長は18日の記者会見では「我々が把握している事実と違った。誤解と判断した」と釈明。今月に入って改めて聞き取りした結果、3人の教諭がいじめの認識を持つべきだと思っていたと話していたことを、この段階になって明らかにするといった不誠実さ。19日のことについては「連絡書は学校の見解を示す公式文書ではなく、報告は必要ないと判断した。当時は『いじめがあった』との内容は間違いだとも思っていた」と言い訳していますが、これだけの材料を見ても、彼らが見て見ぬふりをしていじめを放置していたことは明白でしょう。

 一方、教育委員会も「生徒指導連絡書」の件で報告を受けていなかった点について「生徒の自殺という重大事案の後、もっと敏感になって相談してくるべきだった」と、まるで人事のような発言を繰り返しています。「知らなかった」は免罪符になりません。自ら動いて調べるのが仕事でしょう。彼らにとって「知らないことは職務怠慢」のはずです。本当に当事者意識が欠けています。教育評論家の水谷さんが言っています。<組織防衛を最優先する学校に具体的な過失責任の取り方を導入することだ。いじめで子供が亡くなったら、学校長や担当教員を厳正に処罰すべきです。彼らは、子供を守れなかったのですから。過失に対して責任を取らない大人を子供は絶対に信用しません>。今の大津の関係者たちの醜態は、悪い見本を子供たちに見せているようなものです。

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★…きょうのニュース解説 [ 9月21日 ] オスプレイを早く沖縄に


 沖縄・普天間基地への配備が計画されているアメリカ軍の新型輸送機「オスプレイ」の試験飛行が21日、駐機先である山口県の岩国基地で行われました。アメリカ軍は試験飛行を数日繰り返した後、今月中にも沖縄県の普天間基地へ移動させ、来月中旬から本格的な運用に入りたいとしています。「オスプレイ」については、開発段階における事故率を基に飛行を危険視する動きがありますが、沖縄駐留のアメリカ海兵隊の機能強化は、独自の防衛力を持たない我が国の対中国戦略に欠かせないコマなのですから(尖閣問題で切迫している今、その抑止力は重要)、一刻も早くその配備を望みます。

 本当に「オスプレイ」は危険なのでしょうか。危険と言っている人たちは、開発段階や今年二度起きた墜落事故に目が向いていますが、10万飛行時間当たりの重大事故の(死者が出たり総額200万ドルを超える損害が発生した事故の)件数を示す事故率で見ると、1999年から2011年の初期段階で3.32。本格運用が始まった2004年以降では1.93で、戦闘機などを含めた海兵隊全体の平均2.45を下回っています。

 配備反対派が主張するように、現在使っているCH46「シーナイト」の事故率は確かに1.11と、「オスプレイ」を上回ります。しかし、この数字は約30年に渡って練りに練った改良を加えたCH46の“過去最高の”数字なのです。なので今後、老朽化によって事故が起きる確率が確実に増えると指摘されていることを忘れてはいけません。それに比べると、「オスプレイ」の1.93という事故率は、5年後、10年後にはもっと低い数字になっていくでしょうから、口を極めて罵るほど悪い数字とは言えません。

 「オスプレイ」の最大の特徴は、主翼の両端についたプロペラ部分の角度を変えられる点にあります。プロペラを真上に向けるとヘリコプターのように動くことが出来て、機体の位置をキープするホバリングも可能です。一方、その状態からプロペラを前方に傾ければ、飛行機のように飛ぶことが出来ます。飛行機とヘリコプターの“いいとこ取り”をしている機材です。加えて、行動半径は約600キロと、CH46の4倍を超えます。空中給油もできるため、1回の給油で朝鮮半島、中国まで足を伸ばすことが出来ます。その意味で海兵隊の行動半径を大きく広げるための機材なのです。

 アメリカ軍は馬鹿じゃありません。海兵隊は有事の際、最も危険なところに投入され、橋頭堡を確保するための殴り込みの部隊です。そういう役割を持つため、日頃からお金をかけて彼らを厳しく鍛えています。本当にこの「オスプレイ」に問題があるのなら、そんな虎の子の部隊を黙って載せておくわけがありません。戦場に着く前に墜ちれば、どんどん減っていってしまって戦いを組み立てることすら出来なくなるからです。

 「
オスプレイ」の配備について日米両政府は大事を取り、沖縄に配備した後の運用については低空飛行訓練を150メートル以上の高度で行い、人口密集地の上空は避けることなどで合意しました。政府もアメリカ軍も何でも無理押しするわけではありません。誰もが不測の事故で犠牲者が出ることを望んでおらず、軍事行動を制限しない範囲では柔軟に対応している証です。オスプレイ」の配備自体は「沖縄に集中している基地問題を本土が今後どう負担して解決していくか」、それとは別の問題でしょう。

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2012年9月20日 (木)

★…きょうのニュース解説 [ 9月20日 ] シャープが米インテルと提携?


 経営再建中の家電大手シャープに20日、半導体世界最大手の米インテルとの資本提携の話が急浮上しました。救世主となるはずだった台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と資本・業務提携の話が進まず、資金繰りの悪化から「もしも」が心配もされていただけに、周囲はホッと一息でしょう。報道では、インテルは自社の半導体を使ったスマートフォン(多機能携帯電話)などの協業相手として高く評価、シャープは提携で新たな出資先とパネル供給先を確保出来ます。インテルがシャープに対して300億円超を出資する方向で協議しており、早ければ10月中にも合意すると報じられています。

 それにしても、この15日に創業100周年を迎えたシャープの経営がここまで一気に悪化、「もしも」が取りざたされるようなことになるとは…。2008年3月期に
1019億円という過去最高益を計上してからわずか4年です。12年3月期に連結決算で過去最大の3760億円、13年3月期も2500億円の赤字を計上。社債などの格付けが最下位となって市場からの資金調達が出来なくなりました。シャープは、本社と国内連結子会社の従業員を対象に創業以来初となる約2000人の希望退職を募集。残る社員の給与の削減と、あらゆるリストラ策を進める一方、当面の資金繰りを銀行融資で支えています。しかし、国内のほぼ全ての事業所と営業拠点の土地と建物に対して計1500億円の根抵当権を設定するところまで追い詰められています。

 止まってしまった鴻海との提携話は(1)鴻海グループ4社に第三者割当増資をして669億円を調達(2)鴻海の郭会長個人に堺工場の運営会社の株式を660億円で売却するという内容でした。このうち(2)は実現しましたが、(1)はシャープの株価が200円前後に急落したことで「1株550円で9.9%分を買う」という話がご破算に。出資額が同じで株価が下がれば、
鴻海の持ち分が増えます。持ち分が増えれば、鴻海の経営への関与が強まります。鴻海は亀山工場を中心とした中小型液晶パネルの生産に関与することを希望、これに対してシャープは今後の収益の柱として期待している技術の流出に繋がる鴻海の関与に難色を示しており、なかなか話がまとまらないと言われています。

 インテル、鴻海が共に狙っているのは、シャープの持つ「IGZO(酸化物半導体)液晶」の技術です。「IGZO液晶」は高精細と低消費電力に優れており、米アップルが今年3月に発売したタブレット端末「新アイパッド」にも採用されています。インテルは半導体生産こそ世界1位ですが、市場が拡大しているスマートフォンやタブレット端末向けの半導体ではサムスンやクアルコムの後塵を拝しています。目下、超薄型パソコン「ウルトラブック」の普及に注力しており、「IGZO液晶」の採用を起爆剤にしたいとみられています。

 インテルとの提携が実現すると、筆頭株主に躍り出る可能性があり、鴻海との交渉にも影を落とします。しかし、シャープは技術流出の危険性の少ない提携に(供給だけですから)大きく舵を切ることになります。近く、鴻海からの出資を前提としない再建計画が発表されるようです(13年度通期の最終黒字化をめざしたもの)。シャープの国内の従業員は連結会社を含めて約2万9300人ですが、その仕入れ先は直接・間接取引を含めると国内に8500社に迫り、その従業員まで含めると優に400万人を超えるという事業規模です。鴻海との交渉の行方に翻弄されてきた銀行を中心とした関係者たちは一息でしょう。しかし、まだまだ先が見えない、それも事実です。


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2012年9月19日 (水)

★…きょうのニュース解説 [ 9月19日 ] 尖閣棚上げの内実


 元外務省分析官でさまざまな問題について発言を続けている佐藤優氏が興味深い指摘をしています。ブログサイト「ブロゴス」の17日付の記事です。その記事によれば、中国漁船が尖閣周辺にある日本の排他的経済水域に(EEZ内に)大量に入って来ても日本には取り締まれない、そういう取り決めがあるというのです。外務省はこの問題にひたすら焦点が当たらないようにしていると氏は批判していますが、ちょっとショッキングな話です。

 佐藤氏が取り上げた文書は、自民党の橋本龍太郎政権で小渕恵三外相が中国と取り交わした書簡。1997年11月11日に調印された日中漁業協定に付属した文書ですが、海洋資源保護のため尖閣近辺海域では日中の委員会で決めた条件で操業しましょう →ただし、取り締まりは自国の漁船に対して自国が行いましょう →つまり、尖閣近辺海域での操業に当たってはお互いの法律を適用しません、というものです。佐藤さんが指摘するようになんとも奇妙な文書で、この文書があることでEEZ内の中国中国の不法操業船の取り締まりができるのは中国だけ、ということになります。

 氏はこの文書の存在を受け、中国漁船がEEZ内に大量に留まることになっても、それを違法操業といった理由で取り締まれず、中国が海域を漁業の既得権にしてしまう可能性が大きい、と指摘しています。なるほど…。中国の国家海洋局(日本の海上保安庁ですね)監視船がEEZ内をなぜ我が物顔で走り回っているのか疑問でしたが、それもこの取り決めがあるからですね。少なくともEEZ内は「漁をしている中国側の漁船を監視する義務がある」という名目で自由に出入りできることを認めてしまっているわけです。

 なぜこういう文書を作ったのか…。それは所有権そのものには触れず、中国に漁業権という“実”を与えることで、日中双方が「尖閣問題の棚上げ」を継続させることで折り合いを付けたかったからでしょう。しかし、現時点では、この文書はまた別の問題を投げかけます。佐藤氏が指摘するように<尖閣が日本領であるにもかかわらず、日本政府はなぜ日本の漁業関係の法律が中国人に対して適用されないという意思表示をしたのか。このような書簡を残せば、中国との間に尖閣諸島をめぐる係争が存在することを客観的に認めることになってしまう>ことになるからです。

 となると、「領土問題は存在しない」というこれまでの日本の主張はどうなるのか。古巣に恨み骨髄の佐藤氏の批判は辛らつで<「領土問題は存在しない」という政府の姿勢についても、もはや面倒な仕事から逃れるための外務官僚の口実に過ぎない>と断罪。<外務省が当時、この書簡の持つ意味について理解できていなかったはずがない…問題は日本政府が、尖閣諸島の管轄権の一部を自発的に放棄していることだ>とまで言います。そしてその上で、政府は尖閣諸島の平穏を維持するために中国政府と外交交渉を行うべき、外務省は小渕書簡の撤回も視野に入れ、毅然とした態度で中国と交渉して欲しいとまとめています。

 せっかく実効支配していたのに、日本側が「領土問題が存在としている」と立場を変えなくてはいけなくなってしまった…それだけでも日本にとっては大きな後退です。それもこれも、日本の実効支配が、中国と折り合いを付けることで(現状を変えないという折り合いで)担保されるという極めて弱く脆い基盤に乗っかってきたからですね。その中で日本の国有化が起きた。今の中国の動きは、それを「日本が勝手にその折り合いを変更させた」と感じたからでしょう。自分にとっては至極当然なことも、相手にしてみれば理不尽と感じることがあるのはお互い様で、そればかりはコントロール出来ません。知り合いの中国要人は「担保を外しても融資を続けてくれと銀行に言っているようなもの」とまで言います。

 そこで大事なのが言い分を摺り合わせる外交なのですが、外交官たちと付き合いの深い消息筋の話では、民主党政権中枢に危機感がなく、現場には無力感が漂っているようです。そんな中、中国の漁船が尖閣に殺到、継続的に上陸を続け、漁民たちの一部が入れ替わり立ち替わり滞在する…そういった事態も視野に入ってきました。実効支配を維持するには、何度も繰り返される漁民の進入を警察や海上保安庁総出で排除することを繰り返すしかありません。流血も辞さずと、自衛隊を出して武力で排除するのは簡単です。しかし、そうなれば中国はしてやったり、「民間人に銃を向けるのか!」と国際社会に訴えるでしょう。中国の指導部にとって国民が血を流すなんてことはへっちゃらで、そういう犠牲者が出てくれた方がむしろ国益にはプラスと考える人たちなのです。そこが日本とは決定的に違います。

 同時に経済制裁に出てくるでしょう。もちろん、中国側も甚大な大きな返り血を浴びますが、いまや日本にとっても中国は最大の経済パートナーです。福井の小さな会社ですら中国頼みで、中国人労働者を雇い、中国から部品を調達して青息吐息でやっているような状況なのです。実体経済への影響は計り知れません。さらに彼らには軍事占領を通じてアメリカの裁定に持ち込む、というオプションがあるのです。翻って日本には…。

 もし、ここで「領土問題が存在としている」と、これまでの日本の立場を転換させるのであれば、急いでこの問題を国際司法裁判所に持ち込むことでしょう。向こうはずっと「領土問題が存在する」と言っているのですから、言い逃れをさせてはいけません。佐藤氏は文書について<日本政府が、尖閣諸島の管轄権の一部を自発的に放棄していることだ>と指摘しています。ということは、逆にいうと「中国側も“実”を得ることで管轄権が日本にあることを認めている」、その証拠ということにもなります。これは日本にとってはプラスに働きます。そうして時間が稼げれば、日本にとって有利な証拠がたくさんあって日本が勝てる可能性もまた強いのですから。今になって「対策を考えないおかない冒険主義は大きな代償を伴う」と嘆いてみても仕方ありません。

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2012年9月18日 (火)

★…きょうのニュース解説 [ 9月18日 ] 尖閣周辺の波高し


 きょう日本人二人が魚釣島に上陸しました。反日デモが荒れ狂っている今、中国の世論を挑発するようなことをなぜするのか。本当にそれが日本の国益に利するとでも思っているのでしょうか。気持ちは解りますが、その行動はしっかり「世界中で」報道されます。その報道がまた中国の反日感情をまた逆なでします。海上保安庁も頑張ってほしい。こういう微妙な時期は総力を上げて(島周辺を固めて)、中国側の進入を阻止する一方で、相手方に「挑発に映る」こうした行為も阻止しないといけません。

 デモの参加者の一部が暴徒化する、それは何も中国に限った話ではありません。普段から溜まっていた鬱憤をデモを通じて晴らす、どこの国にもそういう民度が低い手合いがいます。中国の指導部もいまや「中国には在留日本人を守る義務がある。それが出来ない国は一等国ではない」なんて世界中に言われたくはないのです。しかし、現実にそうした暴徒を押さえ込むのは、どの政府にも至難の技。そんな野蛮な国が相手だということをしっかり理解した上で付き合わないと。デモが過激化すれば、在留邦人を危険に晒し、工場を壊されたり、商店を焼き討ちされたりして「損をするのは日本側」です。

 中国は今、胡錦濤体制から習近平体制への権力移行の時期です。なので権力者たちは、権力層の中での縄張り争いに専念したいはずです。一方、国民の側には共産党幹部の腐敗などへの慢性的な不満が充満。そして経済成長が鈍化してきたことで国民を経済的に宥めることが難しい状況です。ちょっとした理由で国民の不満が吹き出す…。中国の指導部は内心、「寝た子を起こしてくれた」と苦々しい思いでしょうが、ここで弱腰の姿勢を見せれば不満の矛先は政府に向いてしまいますから、胡錦濤政権としては日本に強く出る以外の選択肢はなくなりました。デモ自体を抑え込みたい、しかし、国民の圧力を反日デモに逃がすしかなくなったことで抑え込めないというジレンマに陥ってしまいました。
 
 今回の国有化は所有権の譲渡ですから、単なる「紙の上での変更」だけ。それでこの反応です。これから先、避難港、灯台などを建設するとなると、それがどんなに平和的な活動であっても彼らには「挑発=実効支配の強化」と映り、反発は強まり、国民の前で日本政府に実効支配を強化されて「恥をかかされた」中国当局は引き下がるわけにはいきません。具体的には、まずは尖閣の海域に大量の漁船が入ってくるでしょう(きょう、あすにもそうなる可能性がありますが)。海上保安庁は必至に追い出しますが、中国側の「飽和攻撃」で網をかいくぐって上陸する中国人たちも出てくるでしょう(海難事故を装うことも考えられますね)。そして海保で駄目となると、海上自衛隊を出さなくてはなりません。

 そうなれば、当然ながら中国海軍も出てくる。そして、軍を出すとなると、国民の反発を怖れて、どんどん強攻策を採らないと収まりがつかなくなります。その場合、軍による島の急襲占領という強攻策に出てくることも充分考えられます。「日本と戦火を交えること=アメリカと戦争することを意味する」、それで中国が軍を出さない…それは甘い見方です。なぜなら、日本と事を構えることで、国民からは喝采を浴び、日本と戦っても実際に戦わなくても、アメリカをこの問題に巻き込むことが出来るからです。

 軍事的に緊迫してくれば陸上自衛隊も部隊を送り込むし、局地的に海戦が起きれば海上自衛隊が圧勝するでしょう。しかし、問題はその前に、日本が日本のみでも戦うという姿勢をアメリカが許すかどうか、です。安保条約発動という踏み絵を踏まされたくないアメリカにそれすら止められてしまう可能性が高いのです。アメリカの基本戦略は中国の封じ込めですが、こと尖閣問題についてはずっと、お互いに外交的に解決しろ、この問題に巻き込むな、という姿勢で「今や経済的に最大のパートナーである中国との間で、こんな小さな島をめぐる争いで日米安保同盟の発動なんてやめてくれ」というのが本音です。

 もちろん、日本からの支援要請を蹴り、見殺しにするということになれば、アメリカの信用は失墜、同盟国は動揺(台湾などは大変でしょう!)、彼らの安保政策も窮地に陥るでしょう。しかし、議会の承認などで手間取って「見殺しにするかどうかの結論が出ないうちに」外交的に動き、中国側がその米国の仲裁を容れて兵を退くことになれば、「ピースメーカー」としての面子は充分に立ちます。中国は一時的に島を占領しても、反攻に備えて部隊を駐屯させ、その補給を確保し、周辺海域とその上空に軍艦や戦闘機を常時貼り付けないといけません。そう、国民に喝采を浴びてしまえば、本音では兵を退きたいのです。それで中国の面子が立ち、米国の顔も立ち、米中関係を壊すこともない、ということになります。

 そして、肝心のアメリカの仲裁は…。仲裁となれば、日本の主張を一方的に聞くというわけにはいかず、中国側の主張を盛り込んだものになります。それはずばり、現状が中国に有利に変えられることを意味します。つまり、日本の実効支配に終止符が打たれるということです。中国側は日中米3者による共同管理を言い出してさらにアメリカの関与を強めさせるでしょう。それでアメリカは日中双方に影響力を残し、中国は安定的に自由に尖閣諸島に出入り出来るようになる…それだけでも現状に比べて雲泥の差です。それで損をするのは日本だけ、ということです。

 青島日本人会の名誉会長がきょうのテレビ番組で、親日的な雰囲気を持ち、過去に日中関係が悪化した時も反日デモが起きたことがなかった青島で日系企業に大きな被害が出たこと、デモの参加者に若い人が多いことについて「反日教育を受けた若者は、日本の国有化で領土を略奪されたように感じているのではないか。日本人には当然のことでも、相手にすれば」と言っていました。その言葉に外交の根本を聞いた思いがしました。外交とは「自分がしたいこと」と「相手がしたいこと」を摺り合わせるためのもの。どんなお国柄の国とでも「どこかで折り合って」やっていくためにあるのです。

 そのために求められるのは想像力です。国有化は野田首相が胡主席と立ち話をしてから2日後、これでは中国側は「無視された」と思うのは当然です。こちらから見てそれがおかしい反応でも、
相手は日本人ではないのです。勝手な言い分を撒き散らし、図々しことを言ってもてんとして恥じない人たちです。そういう人たちを相手にしているという自覚の上でこちらも行動しないといけません。戦争をしてその民族を滅ぼせれば事は簡単ですが、そうはいかないからこそ、外交があるのです。

 天安門事件の直前、私は北京に滞在してました。西側の理性ではまったく予想出来なかった武力弾圧が行われました。共産党は自らの支配が脅かされれば、我々の想像を遥かに超えた行動に出ます。中国国内では今回のデモが国交正常化以降、日中関係が最大の危機に陥っている今、首相は「毅然として」を連呼しているだけ。外務大臣は「遺憾の意」連発でまるで他人事。中国当局とのパイプ役となる大使は…なんと空席です。そのお粗末さに呆れかえります。ならば、こういう時こそが外務大臣が向こうに乗り込んでいって、日本の考えを伝え、向こうの考えを聞かないといけません。何をやっているんでしょう、この危機に。 

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2012年9月17日 (月)

★…きょうのニュース解説 [ 9月17日 ] 中国の将軍たちが共同声明


 「中国網=チャイナネット」は、中国の国務院(内閣)直属の中国外文出版発行事業局が管理・運営するニュースサイトです。その「中国網」の日本語版が13日付けで、尖閣諸島問題をめぐって中国人民解放軍の著名な将官10人が出した共同声明「解放軍将官10人:日本に対抗する準備を」を配信しています。中国共産党の機関紙「人民日報」系の「環球時報」でも配信されているので、国営のメディアを使って日本の世論を揺さぶるための“情報戦”の一環なのですが、彼らはデモの名を借りて暴行、略奪を行っているそのあたりの中国人とは違います。軍にそれなりに影響力を持っている彼らの考え方を知っておくことも必要です。

[羅援少将=中国軍事科学院世界軍事研究部・元副部長/全国政治協商会議委員]
 すぐに武力で解決するという時期には来ていないが、釣魚島(中国側呼称)問題の中心は実質的な主権についてである。取り戻すというのは正しいやり方だ。私たちは行動を起こし、積極的に手段を講じなければならない。国際社会において日米を国際司法裁判所に提訴し、琉球問題をめぐって日米とやり合う。必要であれば釣魚島を軍事演習、ミサイル発射試験のエリアに組み入れる。そして、戦略力を十分に高めたら、島を奪う。

[彭光謙少将=中国政策科学研究会国家安全政策委員会・副秘書長]
 近ごろ日本社会では4つの感覚が極度に高まっている。第2次世界大戦時の日本軍国主義の領土拡張戦争における惨敗が日本の右翼勢力に与えた侮辱感、米国の長期占領と支配による圧迫感、長期的な景気低迷による焦燥感、中国の急速な台頭による喪失感である。日本ははけ口を見つけるため、中国に対して一連の挑発行為をした。中国の13億人は心を一つにし、団結し、決意、意志、能力を示し、対抗しなければならない。

[楊運忠文職将軍=済南軍区教授]
 日本の国力の長期衰退は、極端な右翼勢力を大いに助長した。日本が東日本大震災で見せた「無能、無力、無念」な状態から、日本の運営メカニズムに大きな問題が生じたことがわかる。日本の政治生態と国民感情のねじれは、おもに「帝国型動揺」、「石原式熱狂」に現れた。自らが長期にわたって優位に立っていた日中の力関係が変化したことに、日本は不満を抱いている。日本は戦後確立した平和的発展の道から外れている。世界を見ると、米国は戦略の重心を東に移し、日本をサポートしている。これらの状況が変わらなければ、日中間の釣魚島紛争が鎮まることはなく、さらにエスカレート、悪化する可能性も高い。

[喬良少将=空軍指揮学院教授]
 釣魚島問題の背後に主に米中のやり取りがある点を見なければならない。米国は中国周辺で面倒を引き起こし、中国の余裕をなくし、戦略的チャンスの時機を失うよう仕向けている。中国がそれに応じ、日本やフィリピンなどの国に全力で対抗すれば、経済成長と民族復興という大きな目標を失うことになる。中国は釣魚島を地方政府に帰属させ、入札募集という方法で島を中国の不動産開発業者に売ってもよいだろう。このような方法で中国の主権をアピールすることは道理にかなっており、合法的、合理的である。国際問題を解決するには冷静になる必要があり、冷静な強硬こそが力を発揮できる。

[張召忠少将=国防大学教授]
 中国の巡視や法執行は十分ではなく、主に3つの法の死角がある。「日本が実効支配する釣魚島に中国は簡単に入れない」、「日本が引いた釣魚島から12カイリの領海に中国は簡単に入れない」、「日本が引いた中間線を中国は簡単に突破できない」の3つである。海軍と海監総隊は国の武装力と法執行力であり、国の法律に厳格に基づいて行動しなければならない。中国はこのほど釣魚島およびその付属諸島の領海基線を公表し、そこが中国の主権範囲であることを表明した。領海基線から12カイリは中国が排他的な支配権を有する場所である。島に上陸する者がいれば逮捕し、進入する船があれば撃沈することができる。これは境界線、法の最低ラインであり、主権、尊厳、戦争のラインでもある。

[王海運少将=前・ロシア駐在武官]
 日中間の釣魚島(中国側呼称)の主権争いを解決するためには、根本的原因を見つけ、戦略的角度から「根本からの解決策」を練り、島争いを解決するだけでなく、北東アジアの「混乱のもと」を完全になくす必要がある。来年の「カイロ宣言」70周年を機に、日本が100年あまり、特に第2次世界大戦中に行った侵略行為を完全に清算する「戦略的戦役」を発動させるべきである。

[鄭明少将=元・海軍装備技術部部長]
 日本は中国脅威論や中国海軍の脅威論を誇張するが、実際は中国を見下し、中国は攻撃してこないと見ている。いかに中国の実力を見せつけ、対抗するかは、現在と長期にわたって検討すべきことである。

[黄林異少将=解放軍軍事裁判所・元副裁判長]
 外交の話し合いで解決できなければ、小規模な軍事対立もあり得る。日中間の摩擦の拡大を防ぐ唯一の方法は日本が譲ることだと思う。日本が譲らなければ、日中間の摩擦はさらに悪化するだろう。

[趙英富中将=南海艦隊・元政治委員]
 中国はまず漁船を漁に行かせ、海洋監視船と海事船を進め、その後に海軍を派遣することができる。戦いに発展することを恐れていないが、できるだけ避けたい。釣魚島問題において台湾と第3次国共合作を行ってもよいだろう。要するに、国を強大化するには強力な国防を後ろ盾とする必要があり、これは釣魚島問題を解決する基盤となる。

[徐光裕少将=中国軍控裁軍協会理事]
 釣魚島で軍事衝突が発生すれば、日本は米国に助けてもらえると思っているが、これは日本側の一方的な願望だと思う。その理由は2つある。1つは、米国は釣魚島の主権問題で曖昧(あいまい)な態度をとり、立場を表明していない。これは主権が自身にあるという日本側の主張と異なり、米国の日本をサポートする意欲は低い。もう1つは、米国にも、日本の島占領を助けるために米中が正面衝突する大きな危険を冒す気はないからだ。

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★…きょうのニュース解説 [ 9月16日 ] 沸騰してきた中国の反日デモ


 沖縄県・尖閣諸島を日本が国有化したことに抗議する反日デモの渦が広がっています。15日だけで参加者は全国7万人と過去最大規模に膨れあがっており、16日には60都市に拡大しています。15日の首都・北京のデモは、当時の小泉首相の靖国神社参拝問題などを受けた2005年4月のデモを超えて2万人以上が参加。北京の日本大使館前では石やペットボトルを投げ続けたり、館内に乱入しようとした一部の若者らが公安当局と衝突しました。

 気になるのは、デモが地方に広がっていること、そして過激化していることです。中でも、参加者が数万人に膨れあがった山東省・青島では、パナソニックなどの日系企業10社で、工場が放火されたり、生産ラインが破壊されました。トヨタ自動車の販売店も方かされ、ジャスコ黄島店でデモ参加者による店舗の破壊や商品の略奪も起きました。また、16日には広東省の省都・広州市で、1万人の反日デモ隊が日本総領事館が入居しているホテル「花園酒店」を包囲、こちらも参加者の一部が暴徒化してホテルに乱入、1階のガラスなどを破壊する騒ぎが起きています。

 デモがここまで拡大した背景には、弱腰だと国民に批判されることを怖れて中国政府が日本に対して強硬姿勢を見せたことが大きく影響しています。「国民の怒りは理解できる」とデモを容認、国営メディアも日本批判を連日繰り広げ、半ばデモにお墨付きを与えていたからです。同時に14日、海洋監視船を日本の領海に侵入させ、尖閣諸島での中国の領有権を誇示する動きを見せました。

 ところが、煽った中国当局も、自信を持っていた首都・北京のデモのコントロールが効かなくなったことに危機感を覚え、今は一転して火消しに走っています。共産党指導部の交代をこの秋に控えた今、反日デモが政府批判へと転じることを警戒しているからです。実際、映像を見ると、毛沢東の肖像を掲げている人の姿が目立ちます(毛の肖像を掲げることで、共産党幹部ら特権階級の腐敗、改革・開放政策による貧富の格差拡大などに対する怒りを込めているのです)。火曜日18日は、柳条湖事件(満州事変の発端)から81年を迎えます。デモがさらに拡大する懸念があり、中国当局はデモを呼びかけるネットの書き込みの削除を徹底、警官隊を総動員してデモを力で抑え込もうとしています。

 北京の日本大使館は15日、中国外務省に中国在住の日本人と日系企業の安全確保を申し入れました。中国側も「現在の状況は十分認識しており、在留邦人と日系企業の安全については法律に基づき保護する」としていますが、ここまでデモが広がると、ちょっとしたことで不測の事態が起きかねないため、一時帰国する知人も増えてきました。踏み留まっている中国在住の知人からは「何かの拍子に危害を加えられないか、正直怖い」と連絡してくる人もいます。

 しかし、ここまで全土を上げたデモになったのは、中国の中に「尖閣諸島の国有化は日本側の挑発以外の何物でもない」と受け止められたからでしょう。挑発と映ったきっかけは、石原慎太郎・東京都知事の行動です。一部で喝采を浴びましたが、危機感のない政府を叱りたいというのであれば、地権者からの話があった際、その話を政府に繋ぎ、ここまでやっても国有化しないのであればああいう行動を取るよと伝え(ある意味で政府を脅すことですが)、いつの間にか国有地になっていたという隠密行動を取るべきでした。実際、尖閣諸島はこれまでも国が借り上げている“準国有地”だったわけですから。

 ところが、あの寝耳に水の爆弾発言です。なぜなのか…。石原新党の立ち上げを前に、国民に「自分だけが憂国の士なのだ」という印象付けを狙ったからでしょう。しかし、挑発をすれば中国に火が着くのは当然です。尖閣諸島の取り合いで実際に戦争するのなら別ですが(核兵器がないのに最後まで戦えません!)、自分を目立たせるために話をややこしくさせる、そんなスタンドプレーに走るのが、本当の「憂国の士」のすることでしょうか。そしてその責任は取らない(実際に在留日本人を危険に晒しています)、究極のポピュリズムですね。また、騒ぎになればなるほど、国際的に“係争地”という認識が広まるわけで(日本は竹島でそれを利用していますが)実効支配している日本にとって何の得もありません。

 地権者との交渉には、息子さんである石原伸晃・自民党幹事長も同席していたそうです。先日のテレビ番組で「子供として手伝っていた」と述べています。その幹事長はやはりテレビで「(領有権を主張する中国側が)攻め込んでくるのでは」と聞かれて「攻めてこない。誰も住んでいないんだから」と述べていました。買い取り交渉にも同席していたのに、領土問題についてそんな甘い認識しか持っていないことにビックリです。では、摩擦を起こしてまで国有化しようと親子で動いていたのはなぜでしょう…。私には解りません。

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2012年9月16日 (日)

★…きょうのニュース解説 [ 9月15日 ] 原発ゼロは単なる努力目標!?


 14日に明らかになったばかりの政府のエネルギーに関する新戦略が、早くもブレを見せています。枝野幸男・経済産業相が15日、訪問先の青森県で三村申吾知事らに対して、14日の時点では不明確だった着工中の原発3基について「国が設置許可を出したのは重たい事実。変更するつもりはない」と述べ、建設を容認しました。着工済みのものは新増設とは見なさないという判断を示したのは初めてです。

 3つの原発とは、東日本大震災などの影響で工事が中断していた中国電力の島根原発3号機(松江市)、電源開発の大間原発(青森県大間町)、東京電力の東通原発1号機(青森県東通村)。政府の新戦略は、「30年代に原発ゼロ」という目標を掲げ、「原発の運転期間を40年とするルールを厳格に適用」、「原発を新増設しない」を原則としました。しかし、3つの原発は「40年ルール」で50年代まで稼働できます。これでは目標との整合性がとれません。

 なんで早くもこんなお粗末なことになったのか…。それは使用済み核燃料を引き受けている青森県側が、新戦略の「原発ゼロ」目標に強く反発、使用済み核燃料を元の発電所に送り返すぞ、と態度を硬化させたからです。原発ゼロ→青森で再処理した燃料の使い道がなくなる→処理施設は稼働停止で地元経済・雇用も崩壊→今運び込まれている使用済み核燃料がずっと青森に置かれることになる…青森側は将来そうなることを怖れています。

 全国の原発で保管されている使用済み核燃料は約14000トン。どこも満杯に近い状況です。一方、六ケ所村に置かれている使用済み核燃料は2900トン。それらが原発に戻されると、保管プールが満杯となって運転停止を余儀なくされる原発が続出することになります。そこで経産相はこの日、原発の建設容認に踏み込んで青森県側を宥めた上、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを回収して再利用する「核燃料サイクル」についても「従来の政策に何らかの変更をしたものではない」と説明。六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場やMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料工場、むつ市の中間貯蔵施設についても建設推進を改めて強調、青森側に理解を求めました。

 しかし、青森側の反応はもう一つでした。中間貯蔵施設を建設中のむつ市の宮下順一郎市長は「まだ納得、理解ができない」と、使用済み核燃料の搬入の可否の判断を保留。また、東通村の越善靖夫村長は「プロセスや課題への対応が非常にあいまい。原発ゼロと再処理継続という方針に矛盾を感じざるを得ない」。大間町の金澤満春町長も、サイクル維持と「原発ゼロ」との整合性については「あいまいな部分について、きちっとした発言がなかった」と述べています。

 整合性について経産相は「大変困難な課題。原発ゼロが可能になるよう最大限努力する」と繰り返したと報じられていますが、きょう朝のテレビの討論番組での野田首相の発言も、なんとも歯切れの悪いものでした。「30年の時点で」というルールが、「状況によって」というあいまいな理由で「40年の時点で」ということになるかも、と感じました。

 政府のブレもさることながら、実現に向けた具体策自体がまた不透明。本当に「原発ゼロ」で大丈夫なのか、それが見えてきません。方針では、再生可能エネルギーの(太陽光発電などですね)発電量を2010年の3倍にするとしていますが、現在の再生可能エネルギー推進策にも問題がたくさんあります。

 例えば、太陽光発電の買い取り価格です。この7月、税込で1キロワット時あたり42円と決まりました。この決定を受け、大手企業が続々とこのマーケットに参入を始めました。大規模な“発電所”の建設を行っているところもあります。なぜか。買い取り価格が42円を下回らない間は確実に儲かるという見込みがあるからです。将来的には買い取り価格が下がる可能性もありますが、それまでに償却しちゃえ、というわけですね。

 ところが、それだけ電力会社が仕入れる電気代が上がるのですから、それらは我々の毎月の電気代に上乗せされるのです。つまり、彼らの儲けを、我々が広く薄く負担しているという構図です。これでは大規模な投資が出来る一部の人たちは確実に儲かる一方で、それが出来ないほとんどの人は負担が増えるだけですね。太陽光発電の普及は大事ですが、こういう機会不平等な施策はどうかと思います。

 太陽光発電の場合は、各家庭を軸にすべきでした。極端な政策ですが、自宅に付けたい人には国がその費用を負担してソーラーシステムを付けるといった方法を採れば、建築業界に対する大きな景気対策になると同時に、国民のほとんどが太陽光発電の恩恵に浴すことになったでしょう。その費用は設置後の一定期間、売電収入を国にもらう形で回収すれば良いのです。そして、それらが生み出すことになる電力量は…。電力不足に本当に怯えるなら、そういうことを仕掛けても良いのではないでしょうか。

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★…きょうのニュース解説 [ 9月14日 ] 新たなエネルギー戦略に議論百出

 政府が14日、新しいエネルギー戦略を決めました。「2030年代に原発稼働ゼロを可能とする」と、原発ゼロ目標を初めて具体的に政府方針に明記しました。原発ゼロへの道のりは「原子炉の運転期間を40年に制限、それを超える原発から順次廃炉にしていく」という考え方で、そのルールに従うと、県内の原発は数年で半減、21年後にはゼロになる計算です。この政策の大転換は、“原発で喰ってきた”福井県への影響は甚大です。

 福井新聞の13日の紙面には「福井県、核燃料税収が9割減少 11年度、原発停止で」という記事が載っていました。県内にある原発13基の運転停止が続いたことから、原発に装荷した燃料の価格などに応じ電力事業者に課税する県税「核燃料税」収入が、2011年度は前年度比で86%減少、74億円から10億円に減ったというニュースです。県に限ってみても、原発関連の収入がいかに大きいか、この記事で一目瞭然です。

 なので15日の福井新聞は大きな紙面を割き、「原発ゼロ」という方針に対する地元の声をたくさん載せています。原発関連収入に頼ってきた立地自治体の怒りと動揺ぶりに始まり、経済や雇用が打撃を受ける地元の人たちの悲鳴…。記事によれば、関西電力が定期検査やメンテナンス業務を通じて外部発注する金額は1500億円に上るとあります。毎年どこかの原発で定期検査があるため、3000人規模の作業員が出入りし、町を潤してきたとあります。

 「どうしてくれるんだ俺たちの生活を!」の大合唱…。しかし、そうした叫びは今、逆効果になりかねません。声を上げれば上げるほど、「自分たちの経済ありきで原発を動かせと言うのか…」と、独りよがりに思われてしまう…そう言った方が正確かもしれません。というのも、福島の事故で国民は、原発事故が立地自治体の犠牲だけで済まないことを目の当たりにしたからです。立地自治体の人が危険を背負い、「原発が生み出す電力の恩恵に浴してきた人間は安全」という区別が出来なくなったからです。

 そういう空気の中、地元経済が崩壊してしまうと叫んでも「もう充分おいしい思いをしてきたじゃないか」と言われるのがオチです。米軍基地を押しつけている沖縄に対する本土の人たちの視線…、それと同じものが福井県にも注がれているということですね。人間なんて実に自分勝手なもの。こと沖縄に関して言えば、我々も同罪でしょう。

 ならば、ここは開き直って、原発ゼロとなっても「原発政策の変更で立地自治体が割を食わない」よう、立地自治体全体でスクラムを組んで政府を突き上げないといけません。その意味では、福井県が昨年11月に全国に先駆けて制定した新しい条例は、それを先取りした動きでした。停止中の原発でも発電能力に基づいて課税対象とする、という条例です。実際、この条例が施行されたことで12年度当初予算案に計上された核燃料税収は61億円にもなります。

 今後はこの流れをより強化、深化させる必要があります。その時、ポイントになるのは「核の危険性への課税」という視点でしょう。危険度から言えば、原子炉内の核燃料も、プールに保管されている使用済み核燃料も危険性は何ら変わりません(核燃料の危険性については、福島の事故で都会の人間にも浸透しています)。立地自治他を潤してきた「電源三法」は原発立地・稼働を前提としていましたが、新たに「核燃料の存在」を対象にした法律を成立させることです。そうなれば、原発ゼロでも、「核燃料を預かっている以上」これまでのような収入は担保されます。

 一方、地元での雇用ですが、実はこれは廃炉作業が始まれば、いくつかの原発で同時多発的に通年的な作業が30年以上も続くのですから、これまで以上に大きな需要を生み出していくと見込まれています。事実、重電メーカーで原発関連の仕事をしている知人たちは、政府の方針がはっきりして実作業が始まれば「廃炉ビジネスで50年は食える!」と言ってます。

 大きく捉えた歴史的な見方をすれば、50年かけて作ってきたものをまた50年かけて壊していくという作業になるわけですが、彼らに言わせれると、廃炉ビジネスを通じて得ることが出来る知見も(放射能と設備や機器の劣化などへの分析といったこと)、原発開発にはとても貴重な経験になるそうです。どうでしょう、政治家たちがこうしたことをきちんと組み立てることが出来れば、立地自治体の不安は解消、むしろ原発ゼロに向けて積極的に動き出す可能性すらある、そのことを今一度考えてもらいたいものです。

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2012年9月14日 (金)

★…「ニウスな夜」第9夜を開催


 等身大のニュース解説「ニウスな夜」第9夜が終わりました。今回は日々のニュースを少し離れ、「エネルギー新時代」と題して、今注目を浴びている新しい資源について解説しました。一つは日本でも
いよいよ商業化に向けての動きが出てきた「メタンハイトレート」です。日本の領海内に大量に分布、日本を資源大国に押し上げる可能性を秘めています。もう一つは、アメリカで商業化され、世界のエネルギー事情に大きなインパクトを与え始めた「シェールガス」です。出席者は12日が4人、13日が8人でした。


 さて、まずは「メタンハイトレート=methane hydrate」。天然ガスの主成分であるメタンが、高圧・低温の海底下や凍土下でシャーベット状に固まったものですが、その外見から「燃える氷」とも言われています。メタン自体が石油や石炭に比べ、燃焼時の二酸化炭素排出量がおよそ半分で、地球温暖化対策としても有効な新エネルギー源として注目されています。

 日本の陸地面積は約37.8万キロメートルで世界で61番目ですが、その権益が及ぶ
領海と排他的経済水域(EEZ)を合計すると(1982年の海洋法に関する国際連合条約に基づく)、447万キロメートルもあり、世界で6番目という大きな“国土”を持つ国ということになります。そして、その日本の領海内の海底奥深くにこの新しい資源「メタンハイトレート」がたくさんあるのです。

 経済産業省が2007年に東部南海トラフ海域(静岡県~和歌山県沖)を調査したところ、そこだけでなんと日本の天然ガス消費量の14年分(東京ガスの販売量の約40年分)にあたる約1.1兆立方メートルの埋蔵量が確認されました。全体の埋蔵量については諸説ありますが、日本周辺にも約7兆4000億立方メートル(日本の天然ガス消費量の約140年分に相当)の埋蔵量があるとまで言われています。

 海底奥深くにあるため取り出すのが難しかったのですが、ここにきて採掘の技術が大きく前進。政府は2018年度をメドに実用化技術を確立し、19年からは商業生産を開始する方針を打ち出し、この春の愛知県沖での試掘にも成功しました。2010年の日本の天然ガス輸入量は974億立方メートル。まさに膨大な量です。「メタンハイトレート」の商業化が実現し、本格的に流通を始めれば…。80%以上を海外に依存してきた日本のエネルギー安全保障に大きな影響を与える可能性があります。

 一方、商業化されたことで既に大きな変化をもたらしているのが、 「シェールガス=shale gas]です。こちらはシェール(頁岩=けつがん)層から採取される天然ガス。地下深くにあり、採掘に高度な技術や初期コストが必要となるため開発が遅れていましたが、地下3キロあたりにあるシェール層に貯まっている天然ガスを砕き飛ばして採掘する「フラッシング」という新しい技術が開発されたことでアメリカでは生産量が急増しています。

 日本ではあまり話題になりませんが、アメリカは天然ガスの「生産大国」。2009年の年間生産量は5935億立方メートルと、ついにロシアを抜いて世界最大の生産国になりました。一方で、この年の消費量が6431億立方メートルという「消費大国」でもあります。そのため、746億立方メートルも輸入している「輸入大国」なのです。この輸入量は、日本の年間輸入量に迫る膨大な量です。

 ところが…。「シェールガス」が商業化されたことで、アメリカでは、天然ガスの価格が1年前のほぼ半額になり、それに伴って原油価格も大幅に引き下げられる方向に向かい出したのです。また、これまで取り残されてきたアメリカの大平原(グレートプレーンズ)でも採れるため、
ゴールド・ラッシュ”ならぬ“ガス・ラッシュ”が起きています。

 そして…。この
「シェールガス」は、なにもアメリカだけにあるのではないのです。アメリカのエネルギー情報局(EIA)が2011年4月に発表したレポート「世界のシェールガス資源:アメリカ以外の14地区の初期見積もり」によると、対象となった32カ国の埋蔵量の合計は❶在来型ガスの埋蔵量が約187.1兆立方メートル❷シェールガスの可採埋蔵量が約187.5兆立方メートルと、埋蔵量は在来型の天然ガスと拮抗しています。

 このレポートにはロシア、中央アジア、中東、東南アジア、中央アフリカなどが含まれていないのですが、それでこの数字ですから、実際にはもっとあるということですね。また、調査対象国の中で埋蔵量が最大だったのは中国。四川やウイグルなどに約36兆立方メートルと、日本の現在の消費量の360年分に相当する量が眠っているというのです。

 こうなると、この「シェールガス」の商業化と生産拡大が、世界のエネルギー事情に与えるインパクトの大きさも想像できますね。石油で喰ってきた中東の存在感がどうなるか、天然ガスの輸出で潤ってきたロシア経済の行方はどうなるか、日本の原発政策はどうなるのか…。各国のエネルギー安全保障にも大きな変化が出てくるはずです。我々の周りで、こういう変化が静かに起きているのです。それを再確認した一夜でした。





2012年9月13日 (木)

★…連載:生活保護 [1] 受給者が過去最多を更新


 この春、売れっ子芸能人の母親が生活保護を受給していたことが表面化、それをきっかけに、生活保護制度の在り方に関心が集中しました。受給者数が年々増加して終戦直後の同じ水準にあること、そして、そのための国家予算がもう防衛費と並ぶところまできていること…。飽きっぽい世間の関心はこの問題からもう薄れつつありますが、状況は何も変わっていません。制度の改良は粘り強く続けていかなくてはなりません。

 そんな中でこの12日、生活保護の受給者は211万816人と、過去最多を更新したことが明らかになりました。今年5月時点の数字で、前月比約8700人増です。また、受給世帯数も過去最多の153万8096世帯となりました。4月に10か月ぶりに減少したものの、5月で再び増加。厚生労働省では高齢化の進展と景気の低迷が続いていることが背景にあると見ています。

 一方、同じ日、生活保護制度を悪用して無料で処方してもらった睡眠薬を転売していた神戸市長田区、無職男性(44)が逮捕されたというニュースが報じられました。容疑者は約8年前から生活保護を受給、無料で手に入れた薬の転売でこの2、3年の間に約400万円を受け取っていたとされています。こうした悪知恵が働くのなら、それなりの仕事に就けるはず、なのに働かず、彼は月約25万円の生活保護を受け取っていました。

 また、6月末には、大阪・東大阪市の職員30人の親や兄弟などが生活保護費を受給していることがわかった、という報道がありました。職員たちは扶養できない理由として「養わなければならない人が他にもいて手が回らない」、「ローンの返済が厳しい」といったことを挙げているとされています。東大阪市の職員の平均給与は700万円を超えています。もちろん、若い職員はそれなりに低いでしょう、しかし、それを言ったら、福井県では平成23年の月間現金給与総額が286,760円なのです(福井県毎月勤労統計調査)…。

 東大阪市の福祉部生活福祉室によると、生活保護の制度に基づき、必要な確認は行っており、金銭的な援助を行うことができないと回答されると、それ以上追及するのが難しいとのこと。しかし、公務員ともなれば、市民のみならず人に範を示してほしい、いや、示さないといけません。なのにこの甘えの構造はなんでしょう。「公」というのもへの矜持を期待する方が無理なのでしょうか。彼らは件の芸能人のことをどういう思いで見つめていたのか…、それを聞いてみたいものです。

 こう書いてくると、生活保護制度は欠陥だらけで、本当は支給しなくてもいい人にまで支給しているのではないか、そしてそれが現在の巨額な財政負担に繋がっている…と思うかもしれません。しかし、こうしたことで出て行っているお金は全体から見ればごく一部です(もちろん、それはそれで止めなければいけませんが…)。また、不正受給のニュースも後を絶ちません。しかし、財政負担がどんどん膨れあがっていく原因は、制度そのものの構造にあるのです。次回から生活保護制度の問題点を探っていこうと思います。


2012年9月 9日 (日)

★…世の中いるもんだ…。


きょう9日、武生国際音楽祭2012が閉幕しました。今年からピアニストの伊藤恵さんがコンサートの方のプロデューサーに就任したこともあり、“現代音楽の道場”といった強面な独自性も残しつつ、コンサートのプログラムがより多彩になり、今が旬の若手アーティストも大挙して出演したことでイメージチェンジに成功していたような気がします。

そんなこともあって、先週は音楽関係者の来店がたくさんありました。6日は鯖江の応援団で伊藤さんを囲み、8日は在京の音楽業界関係者たちとの間で最近の音楽界の話で盛り上がりました。そしてきょうは吉田ファミリーの登場です。吉田パパは(写真のいちばん左の髪の白い人です!)音楽祭の合唱団のメンバーで、音楽祭を締め括った「ドイツレクイエム」に出演した帰りです。


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この吉田パパの娘がそう、ソプラノ歌手の吉田珠代嬢。珠代嬢は昨年の静岡国際声楽コンクールで優勝するなど、まさに売り出し中の逸材。先日も札幌で行われているPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)に出演したニュースが届いたばかりです。この夜は「ドイツレクイエム」のソリストの青山貴氏、それにパパの友人、珠代嬢の彼氏の町英和氏も一緒でした。町君も新進気鋭のバリトン歌手で、皆さんもこれからその活躍をあちこちで耳にするのではないか、と思います。

お客さんと言えば、音楽ジャーナリストの知人が連れてきた友人です。「弾丸ツアー」で海外にもお気楽に出掛ける筋金入りの音楽通なのですが、その博覧強記ぶりもさることながら、何についてもこだわりが半端ではないのです。今の職場は四日市なのですが、名古屋が嫌いなので、わざわざ京都に住んで新幹線とJR関西線で毎日通っているとのこと。半年物の定期券はなんと38万円弱でした。そんな個性の強い人が入れ替わり立ち替わりで楽しい週末でした。


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2012年9月 5日 (水)

★…次回の「ニウスな夜」第9夜は「メタンハイドレート」でいきます


さて、等身大のニュース解説「ニウスな夜」のご案内です。折々のニュースについて、私が店で資料を使いながら2時間ほど解説をする集まりです。

次回は第9夜になりますが、9月12日(水)、13日(木)午後7時半~行います。
これまで「女性宮家」、「橋下旋風」、「尖閣諸島問題」、「原発」、「北陸新幹線」、「年金」、「生活保護」、「竹島問題」と続けてきましたが、今回のお題は「エネルギー新時代」。日本を資源大国に変える可能性を秘めた新しい資源メタンハイドレートを取り上げます。

メタンハイドレートはメタンガスと水分子が結合した氷状の物質で、「燃える氷」とも呼ばれ、石油・天然ガスに代わる次世代資源として脚光を浴びています。日本の領海内の海底深くに日本で消費される天然ガスの100年分が眠るとされ、太平洋側のみならず、日本海側にもあることが解っており、石油天然ガス・金属鉱物資源機構がこの春、愛知県沖で産出に向けた掘削作業を成功させるなど、実用化に向けての動きも急です。今回はこの新しい資源について解説、また、シェールガス革命など資源をめぐる新しい動きについて探ります。

12日、13日とも同じ内容で話をしますので(1日15人)、都合の良い日にご参加ください。会費はコーヒー飲み放題付で1500円、希望者はメールでご連絡ください。




2012年9月 4日 (火)

★…風情があります、伊予・松山は


この3、4日、愛媛県の松山市に行ってきました。プロデューサーを務めているコンサートシリーズの演奏会を来年1月に松山県美術館で行うので、この日は関係者一同でその下見です。午前7時過ぎのサンダーバードでまず大阪に向かい、そこからは飛行機で、というスケジュールで松山をめざしました。

ところが…。列車が湖西線に入ったところで徐行と停車の繰り返し状態に。神戸で起きた人身事故の影響でダイヤに乱れが出ているという説明でしたが、遅れがドンドン伸びていきます。こうなると到着時間がよめないので、ゆっくり寝ていこうというこちらの思惑はパーです。結局、大阪には1時間遅れで到着。駅で遅延証明をもらって伊丹空港に向かい、1便後の便の振り替えてもらいました。それが…。その飛行機がプロペラ機だったのです。

実は小さい飛行機特有の細かい揺れが(高度も低いところを飛ぶので揺れるんです、これが)どうにも苦手なのです。間を空けないで乗っていれば身体も慣れてどうということはないのですが(新聞社時代はヨーロッパの小さな街の間を移動する時によく乗っていました)間が数年空くと…、ちょっと不安な気持ちで乗り込んだ次第です。ただ、心配した揺れはあまりなく、帰りの松山〜大阪のフライトも含めて快適な乗り心地でした。



松山を訪れたのは、もう10年以上も前のことです。その間、周辺の自治体との合併などで人口は50万人を突破、いまや四国最大の都市になっているのですが、今回もこれまでのイメージ通り、というか、さらに整備が進んで、城下町ならではの趣が深まった気がしました。これまで松本、松江などでコンサートをやってきましたが、みんなも同じような感じを持っているらしく、「やはり、城下町はどこか何とも言えない風情が街に漂っているよなあ」という意見で一致しました。

松山と言えば、小さなSLが引っ張る観光列車「坊ちゃん列車」が人気です。お城を囲んで走っている環状線を路面電車と一緒に走っています。最近は編成の数も増えているそうで結構目に留まりますが、今回初めてその中身が、実は最新型のディーゼルカーに被せ物をしていることを知りました(鉄ちんとして不覚!)。しかも、方向転換のためのターンテーブルについて駅員さんに質問したところ、車体に前後はないので、方向転換時はボディー上面をジャッキアップし、それを乗務員が人力で回しているとのこと。目からウロコの話でした。

3日の日は打ち合わせなどが終わった後、夕食の時間までの寸暇を惜しんで若い歴史好きなスタッフと「坂の上の雲ミュージアム」を訪ねたのですが、なんと休刊日でした(月曜休館が多いことを忘れてました!)。1月のコンサートの時になんとか時間を捻り出して出かけようと思っています。また、松山にあった歩兵第22連隊は沖縄戦で玉砕しているので、その英霊たちにもお参りしたいものです。






2012年9月 2日 (日)

★…武生国際音楽祭2012開幕!


きょう2日、武生国際音楽祭2012が開幕しました。今年も第一線のアーティストが集結し、越前市文化センターをメイン会場に9日までさまざまなコンサートが開かれます。音楽祭が始まったのは1990年。今年で23回を迎える、国内の音楽祭の中でも、老舗の音楽祭の一つになりました。



音楽祭の最大の特徴は、作曲のワークショップが中心に据えられ、その参加者の新曲が初演されるなど、現代音楽を積極的に取り込んでいるところです。2001年からは世界の第一線で活躍している作曲家の細川俊夫を音楽監督に迎え、“尖った音楽祭”として海外では高い評価を集めてきました。ただ、そうした世界的な名声は地元の越前市をはじめ、福井市、鯖江市の人たちに伝わっていません。現代音楽というと、「チ〜ン、ドン、シャァ〜ン」といったサウンド的なイメージが先に立ってしまい、なかなか馴染めないところがあるからでしょうか。

そんな音楽祭で今年、小さな変化がありました。日本を代表するピアニストの伊藤恵がコンサート・プロデューサーという新しいポストに迎えられ、彼女のアイデアで将来を嘱望される若いアーティストたちがたくさん音楽祭に参加することになったのです。2日のオープニング・コンサートは、そうした若手が勢揃いして水際だった素晴らしい演奏を繰り広げ、まさに“音楽の宝石箱”という感じでした。これからのコンサートが実に楽しみです。




2012年9月 1日 (土)

★…誠照寺の忠霊堂

大事な報告を書き忘れていました。先々週18日の午後、「ご本山=誠照寺(じょうしょうじ、のことですね!)」を通り抜けようとして、小さなお堂がいつもと様子が違うことに気付きました。小さなお堂とは、つつじホール側に抜ける門の右側にある「忠霊堂」のことです。いつもは閉まっているこのお堂がこの日、三方の扉を開けて空気の入れ換えをしていたのです。

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このお堂、太平洋戦争中に南京攻略戦で亡くなった歩兵第36連隊の英霊たちを祀るために建てられたもの、と聞いていました。確かに額には「忠霊堂」の文字があります。それで写真を撮っていたところ、そこにお寺の関係者の方が片付けに…。お堂の観音様が英霊の骨で作られていること、お堂に英霊の遺骨が祀られていること、そして、年に一度8月18日に風を通すために扉を開けること…。実に面白い話が聞けました。

36連隊は設立されたのは、明治三陸地震が起きた1896年(明治29年)のこと。金沢を拠点とする第9師団隷下の一連隊として(4連隊で1個師団です)編成が始まり、翌97年に北陸本線の開通を待って鯖江に配置されました。中心になったのは地元、嶺北、奥越の人たちです。彼らにとって最初の大きな戦いは1904年、日露戦争への従軍でした。小説「坂の上の雲」で知られる旅順要塞攻防戦、その後の奉天会戦に参加して奮戦したことで知られます。仲代達矢、丹波哲郎らが主演した映画「二〇三高地」は金沢の第7連隊の人間たちを中心に描かれていますが、36連隊もその時、彼らと一緒に戦っていたのです。しかし、36連隊の活躍で最も知られるのは「南京城一番乗り」でしょう。

1937年に(昭和12年に)始まった支那事変は上海をめぐる局地戦で終わらず、日本軍は結局、時の国民政府の首都・南京を陥落を目指して突き進むことになりました。そして、その戦陣を切ったのが36連隊。南京市街を囲む城壁の中で敵側の拠点となっていた光華門を激戦の末に(戦死257名、負傷546名を出して)占領しました。この攻防戦は日本でも連日大々的に報道され、連隊長の脇坂次郎大佐の名前を取って「脇坂部隊」と呼ばれた36連隊は、陸軍きっての精鋭部隊としてその名を轟かせることになりました。

戦後、36連隊の存在は市民に忘れられてしまいました。彼らが光華門占領の後、「いわゆる南京事件」が起きたことも大きかったのかもしれません。鯖江が南京という言葉と結び付くことを嫌ったのではないか、教育の現場でも彼らの記憶を消し去ろうとしたのではないか、というくらい知られていません。しかし、36連隊が国のために何万人もの戦死者を出して戦ったことを後世にもっと伝えていかなくてはいけません。

丹南病院はその昔、国立病院でした。国立病院が県庁所在地の福井市でなく、鯖江クラスの街にあったのも、実はかつて36連隊が抱えていた「衛戍(えいじゅ)病院=陸軍病院のことです」を戦後引き継がざるを得なかったからです。丸山公園になっている場所は36連隊の練兵場で、その中に「鯖江不時着場」がありました。“軍都”だった鯖江を今に伝えるものとしては、忠霊塔が立つ(あの中に2万人以上の戦死者の遺骨を祀っているんです!)嶺北忠霊場がありますが、この「忠霊堂」も歴史的な遺産としてこれから見守っていきたいと改めて思いました。

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