« ★…[原発の話:連載1] 福島第一の4号機こそ危ない | トップページ | ★…[原発の話:連載3] 無策の末の追い込まれての再稼働 »

2012年6月 3日 (日)

★…[原発の話:連載2] 燃料プールを疑え!


 前回は原子炉の中で使われている核燃料も、プールで冷やしている使用済み核燃料も危険度は同じ、プールの方が密閉されていないため事が起きれば大変、という話を書きました。そして、このプールはどの原発にもあるわけですから、稼働していようが停止していようが、もしどこかのプールの冷却システムが何かの理由で止まると、福島4号機と同じような事態に陥る可能性があるのです。では現在、原発にはどれくらいの使用済み核燃料が保管されているのでしょう。電気事業連合会によると、昨年9月末の時点で、全国の商業用原発54基で合計1万4千トンにもなります。

 原発ごとに数字を見てみましょう。北海道・泊(380t)青森・東通(100t)宮城・女川(420t)福島・福島第一(1960t)福島・福島第二原発(1120t)新潟・柏崎刈羽(2300t)茨城・東海第二(370t)石川・志賀(150t)静岡・浜岡(1140t)島根・島根(390t)愛媛・伊方(590t)佐賀・玄海(830t)鹿児島・川内(870t)。そして、福井は、敦賀(580t)美浜(390t)大飯(1400t)高浜(1180t)といった具合です。ではなぜ、そんな危ない物をこんなに保管しているのか。答えは簡単で、持って行き場がないのです。

 日本の原発政策では、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、それをウランに混ぜて「MOX燃料」を作り、それをもう一回発電に使うということになっています。それが「プルサーマル発電」で、その循環がいわゆる「核燃料サイクルの環」なのです。ところが…。青森の六ヶ所村に建設された再処理工場は操業が延期されっぱなし。また、「プルサーマル発電」の延長線上には、発電すると使ったプルトニウムの量以上の燃料を生み出す高速増殖炉(ご存じ、福井にある「もんじゅ」です)」も開発されたのですが、こちらも事故ばかりで、わずか数か月しか運転できないまま放置されています。つまり、この45年間に10兆円を投じても(その原資は税金と電気料金から出ているのですが)未だ「核燃料サイクルの環」を作ることが出来ていないのです。

 そこで取り敢えず、使用済み燃料を六ヶ所村の再処理工場に運び込んでいるのですが、その限界は3千トン。そこにもう2千860トンも預かっています。それで「これ以上はご勘弁」と、原発に留め置いてもらっているわけですが、こちらも54基で保管できる量は2万630トンで、あと6千400トン分で満杯です。しかも原発が今までのようなペースで動いた場合、毎年1000トンの使用済み燃料が新たに生まれてくるのです。まさに「糞詰まり」状況。だから、原発は「トイレのないマンション」と言われるのです。

 ところで、大飯原発の再稼働問題がいよいよ現実味を帯びてきているのですが、私から見ると、再稼働しようがしまいが危険性はそれほど変わらない、と考えています。というのも、それによって使用済み核燃料を冷やしている脆弱な作りのプールの危険性は増えもしないし、減りもしないからです。つまり、危険性を判断する基準を、運転停止か再稼働においているのではなく、核燃料がそこにあるかないかにおいているからです。再稼働をめぐって「脱原発」、「卒原発」と言葉は踊りますが、本当に安全性を高めるためには54カ所に分散している危険物を一刻も早く集め、堅牢な中間貯蔵施設で一括管理することでしょう。

 一方、原発再稼働を叫んでいる人が意外に気付いていない盲点があります。それは、使用済み核燃料を原子炉から取り出せないと(新しい燃料と交換しないと)、発電自体が出来ないことです。つまり、このままでは放っておいても、あと数年で原発の保管プールも満杯、六ヶ所村の再処理工場も満杯となり、原発を動かしたくても動かせなくなってしまうことです。原発を今までのように動かすなら動かすで、六ヶ所村以外にも再処理施設を作り、それが出来ないとしても、せめて使用済み核燃料を集中保管する堅牢な中間貯蔵施設を早く作らないといけません。つまり、どっちの道を選ぶにせよ、中間貯蔵施設の建設を急ぎぐべきという結論になります。

 そうなると、福島の人には申し訳ないのですが、ここは心を鬼にして、「福島第一発電所の周辺に集める」というのが、すべての面で最もリーズナブルで現実的な方法なのではないか、と思います。具体的には、最も汚染がひどい福島第一の周辺を国が買い上げ、そこに中間貯蔵施設を作り、燃料をそこに集めるのです。そのエリアの汚染度は極めて高く、今の世代はもう帰還できないという現実があります。ならば、そこを日本全体の安全のために有効に使った方が合理的ではないか、と思うのです。福島は1〜3号機についても、いつ廃炉に出来るのか、そのめどはまだ立っていません。私たちは今世紀末まで「福島第一の現実」と戦っていかなければなりません。ここが日本の原子力技術の最前線にならざるを得ないのです。だからこその提案です。


« ★…[原発の話:連載1] 福島第一の4号機こそ危ない | トップページ | ★…[原発の話:連載3] 無策の末の追い込まれての再稼働 »

迷走原発」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ★…[原発の話:連載2] 燃料プールを疑え!:

« ★…[原発の話:連載1] 福島第一の4号機こそ危ない | トップページ | ★…[原発の話:連載3] 無策の末の追い込まれての再稼働 »

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ