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2012年3月30日 (金)

★…連載:年金の話[1]厚生年金と国民年金の微妙な関係


 実は、店でいちばん聞かれるのは、「年金」の話です。月に1度の「ニウスな夜」で取り上げて解説して欲しいという人もいますが、一夜で解説できるかどうか自分でも自信が持てないほどの大きなテーマ。しかも、最近も「AIJの破綻」、「厚生年金の適用拡大」…。年金をめぐるニュースが続いています。そんな中で一つ、とても気になることがありました。そう、「AIJの破綻」のことです。

 AIJの破綻について、企業年金の運用を任されていた投資顧問会社の破綻ですから、そこにお金を預けていない人は、「まず自分には関係ない」と思ったはずです。企業年金というのは、基礎年金(=1階部分)、厚生年金(=2階部分)という「公的年金」 に加えて支給される、いわゆる“3階部分”。集まっていたお金はその原資です。なので預けていた人にとっても、1、2階部分に直接的な被害はないはずです。

 ところが、なのです。大きな落とし穴がありました。このAIJに集まっていたお金は、小さな基金から運用を任されていたお金なのですが、そうした小さい基金の多くが「厚生年金の代行部分」の運用も任せていたというのです。厚生年金の運用は本来は厚生労働省が運用するべきもの。ところが、現状は企業が厚生労働所に変わって運用することができることが認められおり、それを「厚生年金の代行運用」と呼んで常態化しています。つまり、AIJにお金の運用を任せていた基金の多くは、AIJの破綻で2階部分にも被害が出るのです。

 厚生労働省の国会答弁によると、AIJが溶かしてしまった(なくしてしまった)といわれる約2000億円が回収不能になると、お金を預けていた21の基金で「厚生年金の代行運用」部分に被害が出るという話です。そして、厚生労働省はその損出を、厚生年金全体で補填すると言っています。となると…。これは企業の年金運用の失敗が、厚生年金の加入者全員に均等に降りかかってくる、というわけです。

 昨年度末で、企業や団体によって作られている年金基金は全国に595。そのうち213の基金では運用の失敗で、3階部分だけでなく、2階部分にも損害が出ていると言われています。本来ならば、各基金の厚生年金の原資に損害が出れば、企業や団体がそれを補填しなくてはいけないはず。ところが、基金の多くは、それだけの体力のない企業や団体によって設立されていることが多く、それを補填できないままです。

 では、もう解散したら、という声も聞こえてきそうですが、現状では、その損害を補填しないと解散もできません。しかし、企業や団体側に補填する体力はない。進むも地獄、退くも地獄です。厚生労働省の調べでは、595の基金のうち、補填なく今すぐ解散できるところはわずか29。また、本来なら積み上がっているはずのお金は24兆円近いはずなのですが、現状では18兆円弱しかありません。言わずもがなですが、最終的にはその損出もやがて、厚生年金全体で補填するということになってくるのです。

 AIJの破綻によって、パンドラの箱が開けられてしまったという感じでしょうか。現状をこのまま放置しておくと大変なことになると教えてくれています。そして、運用会社の破綻は回り回って、結局は厚生年金全体に被害を及ぼすということ。厚生年金の加入者にとっては、決して他人事ではないのです。


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